2011-01-01から1年間の記事一覧

教育勅語の真実

韓国の歴史の本を読んでいたら、ふと小学校の時、古事記や源氏物語の名前を教わる前に春香伝の名前を教わるというかなり偏った戦後教育を受けていたことを数十年ぶりに気が付いた。凡庸すぎて全く影響を受けなかったらしい。とはいえ教育勅語は日本史の本で…

地方の問題を中心に

1.ヤラセメールと反対運動 読売新聞のWEBでヤラセメールとひくと、「九州電力玄海原子力発電所の再稼働を巡り、九州電力が行った組織的な世論工作。6月に佐賀県知事と面談した九州電力幹部が、知事から県民説明番組に賛成意見を投稿するよう要請された…

南北朝鮮のこと

1.日韓首脳会談 18日に京都で行われた日韓首脳会談は、慰安婦問題について首脳同士がお互いの立場を主張して終わったという。次の日の新聞で、日本政府はこうなるとは思っていなかったと報じられているので少し驚いた。李明博大統領は、8月の国会議員入国…

親日、反日の不条理 官房長官談話の罪

1.統治の問題ではない 評論家の金美齢さんが「昭和史20の争点」(秦郁彦編、文春文庫、2006年)という本の中に、「台湾統治と朝鮮統治はどう違ったか」という興味深い論文を書かれている。多くの日本人は台湾、韓国両国の対日感情の差はなぜなのかという疑…

東ティモールへの質問状

世の中で起きていることは、現在報じられ、目の前で起きている事実からだけでは説明がつかないこと、歴史や全体への把握力が問われることが多い。たとえば、日本では2-3ヶ月前から「東ティモールの子供たちに援助を」という国際機関のテレビ広告がよく流れる…

気になるニュース10点

1.野田内閣は国会が嫌いらしい。法案を積み残したまま12月9日で国会を閉じてしまった。ネジレていても主導権は政府側にある。最終日に2閣僚が参議院で問責決議案を可決された。南京陥落から74年目の12月13日に予定されていた野田首相の訪中が「中国側の事…

スラムダンクの勝利学

政治経済や歴史の本を読む合間の気まぐれに、スポーツドクターの辻秀一さんが書かれた「スラムダンクの勝利学」(集英社インターナショナル2000年)を手に取った。「スラムダンクは人生の哲学書である。正しい技術・考え方を習慣化する。こうなりたいという…

大河の流れ ビルマの新たな歩み  

1.米国の関与と日本の援助 2.イラワジの流れ 3.ビルマの歴史 ビルマ独立義勇軍と戦後 1.米国の関与と日本の援助 大正から昭和にかけて荒川が開削されるまでは、東京でもよく洪水の被害があったという。大阪も古地図をみると「河内」(川の内側)とい…

歴史としての戦争と虐殺 

1.歴史問題と平和の毒 飛ばし読みしていたこともあり、ビル・エモット氏の「アジア三国志」(日本経済新聞社2008年)の7章の歴史問題を中心に読み直した。「アジアはひとつであるにせよこの地域の歴史的分裂はそれよりさらに深刻な意味を持つようになる。…

南京陥落から74年目の東シナ海と日本海

大阪のダブル選挙は、20時に投票が締め切られると、すぐに大阪維新の会の両候補の当確が出た。出口調査で明確な差があったのだろう。選挙終盤のメディアの橋下氏の生い立ちなどに対する個人攻撃は本当にひどかった。都知事の石原さんもこの攻撃に腹を立てて…

アイスランドへの中国の進出   

アイスランドは人口30万人弱の北緯64度65度66度(ノルウェーの“中部地域”に相当)といった緯度線の通る北大西洋上に浮かぶ火山性の島だ。国土の半分はツンドラでコケと地衣類におおわれている。ちょうどアメリカ大陸プレートとユーラシア大陸プレートの継ぎ…

幸せのドラゴン 亡国の途上で

11月20日までの数日間ブータン国王陛下夫妻が国賓として来日された。国会での演説、福島での祈り、子供たちへのドラゴンの話など、そのお言葉とお人柄に、全ての日本国民が魅了され励まされた。お二人の姿と天皇皇后両陛下のお姿が二重写しのように感じられ…

大阪秋の陣と地方制度改革の次の一手

大阪では府知事と市長のダブル選挙が次の日曜日に迫っている。遠く離れた地域に住む非関西人の者にとっては勝敗は全くわからないが、今回の選挙は地方自治制度自体の在り方を争点の一つにした珍しい選挙ということになる。その結果はいずれにせよ、大阪にと…

南スーダンPKOと自衛隊

政府が南スーダンにPKOに派遣することに決めてから、現地で空爆のニュースがあった。その少し前の発表では、陸上自衛隊の中央即応連隊で構成された第1陣約200人を2012年1月以降にジュバに派遣し、宿営地や活動拠点を作り、その後、施設部隊を中心とした…

哲学なき政治、感性なき知性、労働なき富

「哲学なき政治、感性なき知性、労働なき富」というはインドの詩聖タゴールの言葉だ。それが国家崩壊の原因だという。そんな言葉が実感をもって感じられる世の中だ。彼は、1861年に生まれて、1941年に亡くなった。日本には5度来日したそうだ。1913年にアジア…

馬鹿は死ななきゃなおらない  

「馬鹿は死ななきゃなおらない」という迷文句は、講談の三代目神田伯山が、楽屋で若い者を叱った時に「てめえみていな馬鹿は死ななきゃ駄目だ」と言っていたのを、浪花節の広沢虎造が「次郎長伝 森の石松」の中で節をつけて唄ったのが始まりという。 そんな…

器量と覚悟

西岡武夫参院議長が亡くなられた。遠くで見ているだけでお会いしたことはないけれど、日本の来し方行く末を論じ教えていただきたい方の一人だった。いい大人をつかまえて、純粋という言葉は褒め言葉にはならないが、その志と覚悟が、テレビの画面からも伝わ…

二ンビー問題の成り行き 市長の辞職 

本年4月末に就任した東京の小金井市の市長が11月に在職半年で辞職することになった。選挙戦で、周辺自治体へのゴミ委託処理費用の増額分を「無駄遣い」と攻撃していた新市長の選挙中の発言が、「人道的措置」として同市のゴミを受け入れていた周辺自治体の反…

李登輝さんの考え方

東日本大震災以来、台湾のことが少し気になっていた。9月に台湾を訪問した日本人旅行者数は月間で過去最高の12万3千人(前年同月比で34%増)となったのも、なんとなくわかる気がした。李登輝さんが中華民国総統時代に出版された「台湾の主張」(PHP社、199…

政治短観(2011年10月)  

野田内閣が成立して50日がたった。「低姿勢と増税と米国追従」以外に何をやりいのかよくわからない。支持率は危険水準にはまだ落ちていないものの、この2週間、厳しい評価をする識者が増えている。 その理由は、言葉は丁寧でも「政策に背骨と覚悟がない」か…

「大阪秋の陣 」と国政改革

大阪の橋下府知事が辞職し大阪市長選にでることとなった。個人的には、この府知事選と市長選が一体となったダブル選挙を、道州制への第一歩となる「大阪秋の陣」と考える。 結果は定かではないが、維新の会が勝てば、地方制度、医療介護制度、農林水産行政と…

雇用争奪

日本の大手・中堅企業は10月の初めに、2012年春入社の学生を集めて内定式を開いたという。内定率は、大手が震災で選考を遅らせた4〜6月は低かったが、大手が一巡した8月には前年と同水準の59%となったようだ。来年の経済を考えれば、デフレが克服できな…

国見の「ちから」

本居宣長の「うい山ぶみ」を読んで、古事記と万葉集に興味を持った。もとより目的があってのことではないが、心惹かれる文章と歌があった。 古事記の下巻は仁徳天皇の事績から始まる。大雀命(おほさざきのみこと)、難波の高津宮にましまして、天下(あめの…

アフリカ経済の離陸と中国

1.南スーダンPKO 南スーダンは今年1月の国民投票でスーダンから独立することが決まり、7月9日に人口830万人のアフリカでは54番目の国になった。国民の大半が一日一ドル以下で暮らす世界で最も貧しい国の一つだが、分離前のスーダン原油の内の3/4は南ス…

私が感動した復興策  

4日間で閉じる予定だった国会が2週間延長されたが、政府・民主党は増税の議論ばかりしていて復興策について全く議論する気がないようだ。中央の省庁に東日本大震災に対する復興策を青天井で考えろといっているので、役人にお任せなのかもしれない。この半…

機種選定の政治力学

1968-69年に導入が決定されたF-4代替の航空自衛隊の次期戦闘機の機種選定は、26日に製造メーカー3社による具体的提案が行われ最終段階に入った。政府はこの中から年内に機種を決定することとなった。本来は2008年度に機種が決定される予定だったが、最有力候…

ドラッカー・ノート

大学時代から読んではいたが、30歳を過ぎてから折に触れて繰り返し読むようになったのがピーター・ドラッカー氏の著作である。2005年になくなられて数年たつが、今も特集が組まれブームが起きている。膨大な量の著作があるが、最近は専ら「実践する経営者」…

救国の処方箋  (1)

1.古事記に学ぶ救国の処方箋 長部日出雄さんの「「古事記」の真実」(文春新書、08年)という本が面白くて、ワクワクしながら頁をめくった。天武天皇の業績、楽劇としての古事記、源氏物語を生み出したもの、前史時代の記憶、火山信仰と稲作の普及、海人族…

普天間問題への回答と新内閣の寿命

前任者と前々任者の不人気にも支えられて、新政権は60%台の支持率を獲得した。首相自身の重厚感にとりあえず国民はほっとしているようだ。個々の閣僚は必ずしも適材適所とは言い難いが、現実に取り組むべき問題は山積している。9月1日の就任直後の電話会談…

グローバル化と人材育成  

今年の春、松下電器産業に採用された新入社員のうち2割が日本人で8割が外国人だという。昨年はついに社内の公用語を英語にすると言い出す企業も出てきた。就活においても、英語の試験を含む一次試験でエントリーの足切りをしたうえで面接が始まる。中には…