疾風怒濤の2019年が始まった

 2月24日に「天皇陛下御在位三十年記念式典」、4月30日に「退位礼正殿の儀」が行われ、5月1日に皇太子殿下が第126代天皇に即位される。そして、新しい元号となるが、新しき御代に幸多かれと願う。だが2019年が始まって3週間がたっただけだが、浅学菲才の身にも内外情勢は疾風怒濤の時代に入ったかのように感じられる。

 個人的に、昨年最も驚いた事件は、障がい者の雇用義務を中央官庁自身が全く守ってなかったことだ。最も腹が立ったのは、外国人労働者の受入れ拡大、いわゆる移民法案可決である。今のまま移民を入れれば、賃金が上がらないだけでなく、犯罪が増加すると思うからだ。国会での議論がお粗末だったことを否定する人はいないだろう。毎月勤労統計の不適正集計の問題も酷い。2004年からもう15年も不適正な集計を続けてきたようだ。経済政策議論のベースとなるものだけにその影響は修正金額以上に大きい。もっと労働者に目を向けた政策への転換が必要だと思う。事業範囲が大きすぎる厚生労働省の再分割も考えるべきかもしれない。

 1月に通常国会召集され、4月に統一地方選挙が行われる。5月に即位改元があり、6月末に大阪でG20首脳会合が開かれる。この首脳会合にロシアのプーチン大統領が来日される。1月に入ってからのロシア側のメディアも使った交渉態度を見ると、北方領土交渉で何らかの合意がなされる可能性が大きいのではないか。ロシアのシベリア・極東地域は人口が少なく、中国の人口圧力を受けている。石油価格は下落し経済は落ち込みがちである。シベリア鉄道の先に日本があれば沿線にも人が集まりやすくなるのではないか。少なくとも2島が返還され、大胆な経済協力が打ち出されるはずだ。それができれば、7月21日に衆参同日選挙となるとみた。憲法改正の発議に向けての活動はいずれにしても、その後となるだろう。

 既に与党は勝ちすぎているが、野党は四分五裂し良い材料がない。筋の悪いモリカケ固執した報いだと思う。しかしそれでも与党が議席を減らせば、安倍首相の交代は避けられないだろう。そうだとすると10月に消費税率の引上げは、どんな対策をとっても経済に影響が出ることから、依然として引上げが延期される可能性があると考える。

 目を世界に向ければ、リーマンショック級の経済危機の可能性は、既に幾つかあると思う。第一は、米中関係である。貿易摩擦、米中冷戦との報道が目につくが、それ以前に、中国経済の不振は顕著だ。「一帯一路」は新たな植民地政策だとの批判がある。土地取引の停止、株取引の停止、企業ごとの共産党支配の強化は、破たんの表面化を防いでいるが、国家に支配された企業が、自由主義経済で好き勝手に行動していること自体が脅威に他ならない。月の裏面への人工衛星の着陸成功は、かつてのソ連スプートニク・ショックを思い出させた。100万人を超えるウィグル人を職業訓練という名のもとに収容所に入れているという事実は、改めてチベット侵攻の歴史や天安門事件を思い出させる。

 安倍首相は新年早々、オランダと英国に行かれたが、3月末にはブレグジットがあり、英国がEUから離脱する。このままいくとEUとの合意が成立しないかもしれない。しかしヨーロッパ最大の不安は、実はドイツ銀行とドイツ自体だと思う。中国に大きく融資していることに加えて、ドイツ銀行の株式が中国に保有されているからだ。
 EUでは、財政・政治・金融政策などが統合されることなく共通通貨が導入されたため、国内におけるデフレや失業などの痛みを為替レートによって調整することが出来ないという本質的な問題がある。競争力をもつドイツ経済の独り勝ちが続き、イタリア、ポルトガルギリシャなどの周縁国経済の弱体化が固定化してしまった。ドイツは、脱退しない限り、それらの国々を助けなければならない。ドイツ政府の健全財政とは、政府の借金を銀行に押し付けて、健全に見せかけていただけだと言われている。ドイツは昨年末の時点で中国の通信機器メーカー、ファーウェイ排除を宣言しなかった。

 朝鮮半島情勢は、韓国の対北融和路線で変質し米国の圧力も利かなくなりつつあるとみた。日本では、今度のレーダー照射問題、「応募工」問題で韓国と話し合いをしても無駄だと多くの日本国民が実感した。彼らと話す必要はないと思うが、これから設定される米朝交渉の過程で、拉致被害者救出のためどこかのタイミングで日朝対話に踏み切る必要があろう。

 こうした中で、9月10月のラグビーワールドカップを行い、オリンピック・パラリンピックの準備をすることになる。まさに疾風怒涛の2019年が始まった。