二ンビー問題の成り行き 市長の辞職 

 本年4月末に就任した東京の小金井市の市長が11月に在職半年で辞職することになった。選挙戦で、周辺自治体へのゴミ委託処理費用の増額分を「無駄遣い」と攻撃していた新市長の選挙中の発言が、「人道的措置」として同市のゴミを受け入れていた周辺自治体の反発を招き、結果として市長選挙前に多摩川衛生組合が受け入れを合意していた今年度分の8000トンを別として11月以降の5500トン分のゴミについては新たな委託先が決まらなかった。その事態を打開するための辞任だという。
 訳が分からず、テレビでもすっきり解説してくれる人がいないため、同市のホームページを見るとタウンミーティングの資料があった。それによると、同市は、07年に近隣2市との市境において、共同で運営していた清掃工場を老朽化によって停止した。当然ながら、その数年前から善後策を検討してきたが、同地での建替え案がつぶれ、06年には個々の自治体で責任をもって可燃ゴミの処理をすることになっていた。しかし小金井市だけは結果として次の候補地を決めれないまま、結局また従来の場所に建設したいと08年に言い出したようだ。他の2市は既に苦労して他の可燃ゴミの処理施設を確保していたため、当然ながら、市境にある従来の清掃工場の敷地を簡単には提供できないと断られた。清掃工場停止後3年以上も小金井市可燃ゴミは周辺の市町村の支援を受けて処理してきたようだ。ところがそうした経緯を知らない候補が市長に当選してしまった。選挙途中で「不規則発言」がなされたが、それは当選後取り消され謝罪されたが理解はされなかった。
 今まで面倒をみてきた近隣の市町村の住民からは、「不規則発言」をする市長候補が当選するほど小金井市民や小金井市議会は問題の重要性を理解してないこと、小金井市のゴミを現在受け入れている焼却施設の周辺も住宅密集地域であり学校施設も隣接していて交通事故が心配なこと、前からわかっていた問題に何の対応も決めず、市当局と市議会に全く誠意が感じられないことなどが指摘されている。市長ただ一人の問題ではなさそうである。ニンビー問題(NIMBY“Not In My Backyard”Problem)に対する近隣の市町村からの反応・反論としては至極当然のことなのかもしれない。
 どこの街でも市役所は街の真ん中に、ゴミ焼却施設は市境の一番外れに作られる場合が多い。しかしゴミの収集効率と余熱の活用を考えれば街の真ん中にあってもおかしくない。小金井市は、場合によっては、ゴミの中で次の市長を決める選挙を行うことになるのかも知れない。論点ははっきりするが、臭いはちょっと強烈である。