「大阪秋の陣 」と国政改革

 大阪の橋下府知事が辞職し大阪市長選にでることとなった。個人的には、この府知事選と市長選が一体となったダブル選挙を、道州制への第一歩となる「大阪秋の陣」と考える。
 結果は定かではないが、維新の会が勝てば、地方制度、医療介護制度、農林水産行政という日本の内政上の3大改革テーマの1つに手が付くこととなる。2重行政の無駄を是正する過程で、基礎的自治体の役割が改めて明確になり、広域行政としての道州が持つべき役割と国政改革の課題が一層明確になる。
 「都構想」の対極に「特別市構想」がある。政令指定都市を府県から完全に独立させ、残りを県の行政分担とするという考え方だ。しかし特別市構想には個人的にはいくつかの欠点があると考えている。特別市自体が基礎的自治体としては大きすぎると思われること。特別市ではないその他の地域の人々の生活や自治の在り様をほとんど考えていないこと。権限を小さくするのは府県レベルの組織だけで、特別市の組織は拡充されること。府県レベルの職員の能力を活かしにくいこと。特別市の規模自体に大きな差があり、特別市を同列に並べて同じ種類の自治体と考えにくいこと。規模が違うと比較検討が難しくなり、一般市民の政治への実質的参画を求めることが難しくなること。結果として形成される行政管理面積は物理的に県より小さくなり、道州制への道のりは更に遠くなること。
 大阪府の組織と大阪市の組織を再編検討が始まり、問題点がはっきりしてくれば、「この国の形」が総合的に国会で議論されることとなる。そして国民側からは、国に対して「新しい地方自治制度」、「新たな規制の緩和と権限の割譲」、「新しい産業の育成」を求める運動が始まるものと考えられる。こうした新しい国の形を求める変革への胎動は「橋本独裁」無くしては始まらなかった。今回の「大阪秋の陣」は長く遠い国政改革の第一歩でもあると考える。