トランプ氏が大統領に選ばれた晩に

 米国のメディアの多くがヒラリー氏支持だったということもあって、日本のメディアは「今後、一様にどうなるのか、不安だ」と報じている。株価も大きく下げた。
 地上波のテレビのニュースでは木村太郎氏の米国選挙レポートだけが、わずかに真実を掘り起こしていた。また日本のwebでは数名の識者だけがトランプ氏が強いといっていた。今回の選挙が特殊だと感じたのは、通常の米国選挙だったらそれぞれの支持者は候補者のポスターを自分の家の庭に掲示するのに、トランプ氏の支持者は家の中にポスターを張っていることだった。また支持率の高いはずのヒラリー氏の選挙集会に人が入っていない事実だった。
 最も不可解だったのはFBI長官による選挙直前のヒラリー氏のメールの捜査の再開宣言だった。イスラム過激派とつながるサウジのお金持ちをスポンサーとする出版社を家業とする家庭出身のフーマ・アベディンというヒラリー氏の第一の側近の女性の夫の奇妙な性癖の捜査から始まった。だがその内実は、無法な多国籍主義者と素朴なアメリカの「深刻な内戦だった」ことが、西村さんと藤井さんの解説で初めて分かった。「元国務副長官の国を救う戦い」を検索するともっといかがわしい所業が告発されている。
 ヒラリー氏が弁護士時代から江沢民派とズブズブだったことは知っていたが、クリントン家は、最近カタールや中東諸国からもかなりの献金を受けていたという。
 ひるがえって、日本の大手メディアは何をしていたのだろう。また国連総会の時に、ヒラリー候補と安倍首相を面談させたのは誰なのか。大いに国益を損ねたといわなければならない。
 これから日本は、引き続きグローバリズムとの折り合いをつけつつ、アジアにおける拡張主義と同時に、経済破綻と難民発生のリスクに、法制度も含めて備えなければならない。
 トランプ新大統領は、日本に軍事負担の増大を求めているが、「米軍を傭兵として扱うことは失礼だ」との論理だけで米国が納得することはないと思う。EUも含めて、少なくもGDP比2%の標準的な軍事負担が求められるだろう。だが、同時にトランプ新大統領の誕生で、ロシアとの平和条約の締結と経済協力の道が開けてきたのではないか。