ノーサイドの後で 円高が促す事実上の大連立 

 民主党44、自民党51、公明9、みんなの党10、たちあがれ1、改革1、共産3、社民2と参議院選挙の結果がでた。民主党内部はこれからしばらくの間、ガタガタすることだけは間違いないが、日本の政治全体をみれば、大筋として対米協調、消費税論議を進めるという方向での議席の配分だ。個人的には「民主党単独過半数で、今後3年間、真面目な国会審議もなく、やりたい放題の政治で迷走を続ける」より、はるかにましな選択だったと思う。民主党自身も認める、問題が多い海外にいる在日外国人の子供に対する子供手当など、おかしな制度は年度途中であろうと直ちに修正廃止すべきだと考える。
 このところの1ドル90円をきる円高水準を考えるならば、国会は夏休みなど返上して新たな経済政策に取り組んでほしいと考える。テレビで為替相場の読みが深いことで有名な日本人のファンドマネージャー氏が「欧州も、米国も30%程度通貨供給を増やしているのに、日銀は2−3%しか通貨供給を増やしていない」というのが円高要因だ発言していた。日本も政府と日銀が協力してデフレ脱却と通貨供給の均衡化に取り組みべきだろう。通貨を増発し財政規律を失ったらインフレになって大変だ信じている人は目の前で起こっている事態を良く見てほしい。日本の製造業はせっせと働き、国民は生活を切り詰めているのに、為替が切り上げられて職場が少なくなり、若者の失業者を増やすことが放置されている。
 民主党の政権は、この選挙で、消費税の議論を持ちだし、政治と金、普天間の問題を片づけたつもりだった。選挙前の国会では、日本にとって重要な法案すら、十分な国会審議が行われず、強行採決が多かった。衆議院選挙で勝ったのだから審議をする必要がないというオゴリが見て取れた。政治とカネ、普天間の問題も何も片付いたわけでもない。その行き着く先は政治と議会の消滅への道だった。お得意の事業仕分けをすれば、マニフェストで全てが済むなら、国民はボタン投票で方針を決め、官僚が実行する社会が一番合理的だ。出来の悪い政治官僚に高給を払う必要がない。国民が望むのは真面目で本質的な議論であり、ツヨガリやキベンではない。
 つよい財政、強い社会保障も悪くはないが、ノーサイドの後で、最も求められているのは、大胆な経済政策が打ち出せるかどうかではないだろうか。その一点に絞って議論を進めることが新しい日本への第一歩ではないだろうか。その一点において事実上の大連立がスタートする。ネジレ現象は国民の英知を結集して経済を再建せよとの国民の意思表示に思えてならない。