政治ノート 不気味な政党、民主党

連立与党を構成する社民党大臣は、普天間移転先を辺野古周辺とする閣議決定に署名せず罷免された。郵政預金限度額引上げ法案は6時間の審議で強行採決される。剛腕幹事長氏が、郵便局長さんたちの会で約束したかららしい。普天間ばかりであまり報じられてないが、このところ強行採決が連発されているという。詳細はわからない。あまりヒドイことが続くと「1番ヒドイ」ことだけが報じられて、2番、3番は小さく、普通に考えたら「かなりヒドイ」ことでも、「4番、5番目にヒドイ」ことは、ほとんど報じられない。もはや正気の沙汰ではない。首相は今後も信念を持って政権運営にあたると言うが、信念があるはずもないことは周知の事実だ。
 参議院静岡選挙区の件も驚いた。内閣支持率低下もあって静岡の民主党支部は、今までの現職議員1名だけを候補としたいと党本部に上申したら、2人候補をだす方針の本部は、その議員には本年度分の6百万円の選挙資金を支給していないという。見せしめだそうだ。コトホド左様に、お金に厳しい幹事長氏が「自分の事務所のお金を秘書達に全て任せている」はずがないというのが世間の見方だが、検察は二度目の不起訴処分を出した。これを受けて検察審議会が二度目の起訴相当の判断を出すのはいつなのだろうか。投票日が7月11日だと6月24日が選挙の公示となるため、選挙の後に判断が出る可能性もありそうだ。いずれにしても現在の情勢では民主党は現有改選議席の確保は難しく、プロは、強気な人で48議席、弱気な人で29議席という。
 全国区では党派に関係なく有名人が通ることを考えると、121議席を争う参議院選挙では結果的に1人区の勝敗が全てを決めるようなメカニズムが働く。2人区が12選挙区、3人区が5つ、5人区が1つの複数定数区では、大政党が候補者を1人に絞れば大概は18名前後の議席を確保できる。これに安定的な全国区で20議席を加え、1人区で半分とって14-15議席、合わせて52-53議席参議院単独過半数62をとるためには、1つの選挙区で2議席を確保するところを10選挙区以上にしなければならない計算となる。大政党にとっても追い風の時だけ過半数が確保できる制度であり、無風の時は53議席前後となり、逆風の時は、大政党の獲得議席が43議席が上限になる制度だと思われる。逆風の時は、1人区を中心に2人区と合わせて少なくとも10議席を失うという見方だ。2007年の時の自民党が37議席だったことを考えると、民主党が今回獲得する議席は40議席前後ではないかというのが、選挙制度をベースにしたおおざっぱな現在の見方だ。そうなれば参議院での優位は無くなることもあって、あらゆることが政権党のやりたい放題ではなくなる可能性が出てくる。衆議院選挙も早晩日程に登るため、「公明党」や「みんなの党」も民主党についていくわけにはいかず、きちんとした議論がなされる国会に戻ることが期待される。国民の一人としてそうなることを期待している。
 しかしもし、民主党の中にこれからの日本の政治に責任を持ちたいと考えている政治家がいるならば、こうした緊張感のない成り行きの政治を受け入れるべきではない。今度の夏をあの首相の下で日本の国益が損なわれていくのを恥としなければならない。普天間の混乱について自らのこととして責任をとる閣僚や議員は他にいないのか。そんな民主党は、テレビ映りの良いイケメンや美人が何人いようと不気味な政党というしかない。