邦人人質事件

 安倍首相のエジプト、ヨルダン、イスラエルパレスチナ歴訪の中に起きたISISの邦人人質事件で、2015年1月は騒然とした雰囲気の中で終わろうとしている。
 2億ドルという巨額の身代金を要求され、続いてヨルダンが収監するサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放が要求された。ISISの目的は要求実現よりも彼らを攻撃する有志国連合を分断し、人道支援分野での日本の関与を後退させることを狙っているようだ。
 愚かな野党議員が、SNSなどを通じてテロリストと同様の主張を始めている。900万人とも言われる家と食糧がない難民をそのままにして、人道や人権は成り立つのだろうか。ISISには、言われたまま2億ドルを支払い2人を救出しろと主張する議員まで出てきたのには驚いた。愚かな議員と政党は次の選挙で確実に落とさなければならない。同様に、八方美人のデマゴーグも政治家には向いていない。何年か前の民主党政権でなくて良かったというのが私の実感だ。
 日本のメディアは、ヨルダン政府が後藤さんと死刑囚の交換してくれと言わんばかりだが、ヨルダンにはヨルダンの優先順位があることを理解しなければならない。ネタニヤフ首相が1995年に出版した「テロリズムとはこう戦え」(ミルトス1997年)を取り寄せて読んでみた。(最終章の7章対策の太字の部分を転記する。)テロとの闘いでは、テロリストの囚人を釈放してはならないというのが、大事な原則であるらしい。
 人質事件の報道で忙しくて、誰も触れていないが、今回の安倍首相のイスラエル訪問の目的は、国際制裁を受けているイスラエル経済に梃入れするとともに、最先端のサイバーセキュリティ技術の入手にあるのではないだろうか。北朝鮮の核と中国の軍事的脅威が現実のものとなりつつある中では、どうしても強化したい技術だからである。
 加えて中東を安定させるためには、ヨルダン、エジプト、パレスチナそしてイスラエルの安定が不可欠だからである。そのことは米国議会対策にもなるとみる人もいる。米国政治は、イスラエル右派に牛耳られる米国議会と、それから脱却しようとするオバマ大統領の対立と見る人がいる。たまたま米国のマケイン上院議員イスラエルを訪問していたようだ。イスラエルではもうすぐ総選挙があり、ネタニヤフさんの人気が今一つだという。
 
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 脅威の本質を知り、断固として行動する
1)テロ国家に核技術を提供する国に制裁を加える
2)テロ国家に外交的、経済的、軍事的制裁を加える
3)テロリストのエンクレープ(飛び地)を制圧する
4)西欧におけるテロ政権とテロ組織の資産を凍結する
5)情報を交換する
6)テロを煽る組織の監視と対テロ行動の規模を拡大できるように法を改正し、定期的にそれを見直す
 テロ組織のための資金調達・流用を非合法化する。
 テロを説き暴力による政府転覆を計画している組織の捜査を認める。
 テロ事件の令状規定を緩める。
 武器所有を規制する。
 移民法を厳しくする。
 市民の自由を保護するために、法の定期的見直しを義務づける。
7)テロリストを積極的に追跡する
8)テロリストの囚人を釈放しない
9)テロリズムと戦う特殊部隊を養成する
10)一般大衆を教育する