積雪の2月9日朝に思う 

1.積雪の2月9日朝に思う 
 ロシアのソチでオリンピックが始まった。開会式は現地時間の20時14分からなので、時差は5時間、日本は翌日の午前1時14分だった。安倍首相は7日の朝、北方領土返還全国大会での挨拶を済ませた後、ロシアに向かい、ソチで開会式に出られた。翌日プーチン大統領と昼食をとりながら首脳会談を行った。東京は20年ぶりの大雪で9日を迎えた。東京都知事選の投票日である。最終的には4人が有力候補と報じられているが、政策論争は深まらないままであり、メディアの偏向報道も著しかった。そうしたことを乗り越えて、靖国神社への参拝、外国人地方参政権への反対、原子力発電の推進、危機管理能力といった点で大きな判断が示されることを念じている。
2.国籍と実名報道の進展
 あまり取り上げられることはないが、日本でのメディア報道ぶりで大きな変化が一つ起きたと思えてならない。それは犯罪報道における国籍と実名の報道が進展したことだ。昨年の10月頃からである。
 韓国籍の男はポルシェを持つほどお金を持っていながら、日本の生活保護費約470万円を受け取っていたことで逮捕された。つい先日も昨年5月の事件が報じられた。1億円を超える売上のある韓国人クラブを経営し、オートレース場の会員制特別観覧室通い詰めていた夫婦への生活保護費の不正受給が摘発された。今までならば、国籍も実名も、韓国系、朝鮮系の人たちについては何故か報じられてこなかった。
 韓国大統領の告げ口外交などで対韓感情が悪化したこともあって、都市部のごく限られた地域で、保守派も眉をひそめるヘイトスピーチがなされるようになった。これに反対する形で韓国系の人たちを中心にシバキ隊とかいう人々が現われた。「在日特権などはあるはずもない。自分たちは優遇されてなどいない。」という反論が大々的になされたが、それならばと、今までは自主規制されていた戦後のタブーが一つ消滅した。国籍や実名を報道しても、デモや集団的抗議行動をかけられることはないとなったのではないか、というのが自分の観察的理解である。
 多民族国家である米国では、国籍や市民権以上に民族の出自にはかなり敏感だ。「人種のルツボ」というよりは、「モザイク国家」だという人もいる。大量殺人事件などが起きると、それぞれの住民が、犯人が母国の出身者でないことを願うという。その地域に住む同じグループの人たちの生活には直接的影響があるからだ。
 慰安婦像の設置などで、韓国の人々の欧米における反日運動はとどまるところ知らないが、海外において、日本料理店を経営する韓国人はかなり多く、風俗業においても日本名を名乗る女性が多いという。戦前の満洲国においてもそうした事例が多かった。「創氏改名」も、強制ではなく、裁判所にお金を払って手続きすることが必要だった。
3.集団的自衛権の問題の進展と安倍政権の弱点
 首相は、1月末にインド共和国記念日のゲストとして招待された。諸日程の後の記者会見で、みんなの党の渡辺代表と政策協議を進めることを明らかにした。週が明けて、国会審議の中で、外交・安全保障・憲法改正については維新の会がこの政策協議に加わることを表明した。そのことによって集団的自衛権の問題は大きく進展したとみる。
 衆議院現有議席は、定数480で、自民293、公明31、みんな9、民主56、維新53、結い9、その他20。参議院は定数242議席で、自民114、民主党58、公明20、みんな12、結い6、維新9、その他21、議長・副議長2となっている。憲法改正の発議には、2/3以上にあたる衆議院で320議席以上、参議院で162議席以上の賛成が必要であり、人気のある安倍内閣をもってしても参議院のハードルがまだ高い。集団的自衛権の行使容認については、連立与党である公明党に反対論が根強く、与党内の親中・親韓・親北グループが万一造反する場合を想定しても多数派工作が足りない。憲法改正の前に、集団自衛権の問題を処理したいのは、それだけ国際情勢が風雲急を告げているからである。
 安倍政権の弱点をあえて挙げれば、地方の自民党組織にあるのではないか。名護市長選挙では辺野古移設反対派の現職市長が勝った。19839票対15684票と4155票の大差となった。得票率は、56%対44%だった。自民支持層の3割、民主支持層の8割、無党派層の7割強が稲嶺氏に投票し、社民、共産支持層はともに9割強が稲嶺氏に投票したといわれている。問題は、沖縄の公明党が自主投票になったことに加えて、石破幹事長が投票日の3日前に応援演説に立ち、名護市の地域振興に向けて500億円規模の基金をつくると発言して反発を呼んだ。反発は当然だが、そうした発言を止める見識を持った議員が沖縄の自民党にはいなかった。
 本年11月の沖縄県知事選挙で負ければ、名護市長選どころではない影響が出てくる。もはや経済振興策だけでは、11月の知事選を戦えない。その前哨戦となるのが3月の石垣市長選挙である。ではどうするのか。桜チャンネルの沖縄の声に出てくる、八人の子供を育てた主婦の金城テル(82歳)さんの話が大きなヒントになる。一見どこにもいる普通のおばあさんなのだけれど、その行動と発想は小説に出てくる坂本龍馬そのものである。