海ゆかば 都知事選挙の行方

1.やっぱ好きやねん「やしきたかじん
 1月3日に「やしきたかじん」さんが亡くなった。関西のテレビ番組の率直な物言いと人柄で人気の司会者であり、女心を歌う高音の歌声で愛された歌手だった。そして何よりも人物を見抜く達人だった。橋下徹大阪市長安倍晋三首相も、彼の番組に出演することで、その人柄と識見が日本全国に知られるようになった。首相になってからも安倍さんが出演された唯一のバラエティ番組だった。そこには本音の政治談議と笑いの中に志と優しさがあった。あらためて彼の「やっぱ好きやねん」という歌を聴いた。多くの人に愛された人だった。
2.海行かば
 自民党は太平洋戦争末期の激戦地・硫黄島や東南アジア、太平洋諸島など国内外の戦没者の遺骨収容を促進する新たな法案の概要を固めた。遺骨収容を「国の責務」と明記し、戦後75年となる2020年までを集中実施期間として予算や 人員の強化するという。
 また首相が今年から2年間を目標に第二次大戦末期の激戦地となった南太平洋の島国を歴訪するという。日本人戦没者を慰霊し、遺骨収集活動を強化したいとする首相の強い意向だという。9月にパラオで開催予定の太平洋諸島フォーラム首脳会議への出席も検討しているという。
 機会があれば自分も参加したいが、できればバイト料を払っても、多くの大学生や高校生にも参加する機会を与えていただくことに意味があると思う。そうした国民運動を行うことが大きな抑止力ともなり、平和を創造する。
 海外における日本の戦没者は、240万人だが、50万人近くがパプアニューギニアやグアム、ソロモン諸島など南太平洋地域に集中している。いずれも日本軍と米軍の激戦地で、現地には日本人戦没者の慰霊碑も多い。亡くなった将兵への慰霊がなされることを喜びたい。
  海行かば 水漬く屍(みづくかばね)
  山行かば 草生す屍(くさむかばね)
  大君の 辺(へ)にこそ死なめ
  かへりみはせじ
3.ミャンマーの国民的和解
 正月早々嬉しいニュースがあった。ミャンマーの国民和解担当の日本政府代表の笹川陽平さん達は6日、ミャンマーヤンゴンで記者会見し、少数民族の生活支援などを目的に5年間で100億円を拠出すると発表したという。民生の安定化を図ることで、戦闘状態にあるミャンマー政府軍と少数民族勢力の和平を後押しする狙いがある。NGOなどを通じて、支援を実施する。ミャンマー政府や少数民族勢力と協議しながら、戦闘の被害を受けた地域で食料や医薬品を住民に提供するほか、避難生活をしている住民向けに住居を整備することなどを計画しているという。
 以前より笹川さんのブログで、彼がこうした和解交渉のために、何度もタイやミャンマーに足を運ばれていることはを知っていたが、ついに記者会見まで来たようだ。これで、ミャンマーの英国植民地統治の歴史が終わりが始まる。
 笹川さんの人徳と関係者の努力とともに、大東亜戦争で亡くなった将兵が築いた信用が効いているのではないか。戦後の日本では戦争で亡くなることは、「国家によって洗脳され強制された無駄死だった」と教えられることが多い。そうした考えを否定はしない。しかし昔の人が何も考えていなかったわけではないこともはっきりしている。ビルマ独立運動家で初代首相となったバー・モウは「私は台湾とフィリピンでの神風の偉業を読んだ時ほど、心を動かされたことはかつてなかった。その時、私は神風の精神が滅びない限り、東アジアも決して滅びない、と自らに語った」という。もう少し戦争のこと、彼らのことを考えよう。
4.東京都知事選挙の行方
 猪瀬都知事政治資金規正法違反を追及されて辞任した。1月23日告示、2月9日投票となる。共産党社民党の支持で宇都宮健児氏、保守派の頑張れ日本から元自衛隊航空幕僚長田母神俊雄氏。石原さんの個人的支持を受けているという。自民・公明の支持で舛添要一氏。菅官房長官と親しいという。ここにきて、反原発を旗印に細川元首相が民主党都連の支援を得て出るという。東京都の有権者数はおおむね1100万人で、投票率は天候次第、選挙戦の盛上り次第で55-65%の間だと想定される。
 ここからは自分の勝手な推測になる。投票率を中間の60%とおいてみると、投票数は660万票。30万票前後は4人以外のその他候補に投票される。宇都宮さんの得票を70万票とみると、田母神(65歳)、舛添(66歳)、細川(75歳)の3氏が残り560万票を取り合う構図の戦いとなる。高齢者の闘いである。投票率が±5%変動すると±55万票となる。
 定性的判断事項としては、安倍首相は、都知事選候補の条件として「五輪に向けて東京を引っ張っていただけ、行政能力があり首都直下型地震で司令塔を果たせる人」と述べたという。この危機に際し、自らと連携して危機克服に向かう首都の知事は誰かの決断を求めるのは酷かもしれない。メディアは、反原発細川氏が最も優位というがはたしてそうだろうか。国民は、名門だろうとなんだろうと、首相をやっていようがいまいが、ダメな人はダメであることを痛感している。20年前に民間企業からの不透明な借金が原因で政界から引退していた人がどれだけブームを引き起こせるだろうか。民主党が担ぐ人はダメという評価もあるだろう。舛添氏は弁が立ち有能であるが、はたして女性票は入るのだろうか。最も保守的な票は田母神氏の方に流れるし、もっと左寄りの票は細川氏に流れるだろう。田母神氏は自民党麻生政権の時に更迭されたが、自衛隊はここ数年で最も国民の評価を上げた団体であり、マスコミ受けはしなくとも、以前のようにマイナスにはならない。分からないのが、石原さんの影響力である。小泉元首相が細川さんと共闘すると大変だというが、エネルギー選択という国政上の課題を地方選挙の論点にする方が不見識だ。
 2013年7月の参議院選挙の東京選挙区の結果は、自民167万票、反原発67万票、民主80万票、維新41万票、みんなの党32万票、公明80万票、共産70万票だった。2012年12月の都知事選挙では猪瀬直樹434万票、宇都宮健児97万票、松沢成文62万票だった。
 好みを別にして淡々と考えれば、舛添250万票、田母神170万票、細川140万票というのが現時点での自分の見方である。田母神氏が逆転するとすれば、若者と自民党の女性票の動きではないだろうか。当たるも八卦、当たらぬも八卦ではあるけれど・・・。