ガッカリする米国もあれば、信頼できる米国もある

1.17年目の普天間問題の進展
 沖縄の仲井真知事が、名護の市長選挙の結果とは関係なく、辺野古埋立申請の可否を「年内に決める」と言い出したのは12月13日だった。25日に安倍首相と仲井真知事のトップ会談があった。首相は基地負担の軽減策を発表するとともに、沖縄振興への一括交付金3000億円以上を2021年度まで継続して支給することを約束した。そして、返す刀で、分裂していた名護市長選候補の保守系候補を統一した。額賀福志郎さんが沖縄で動いていた。全体として見事な動き方だった。司令塔はやはり菅官房長官だった。石破茂幹事長も連携されていたという。沖縄選出の国会議員団、県連の意見を修正させたのは石破茂さんだった。そして1996年の日米合意以来17年目にして普天間問題は大きく動き出した。
2.ガッカリする米国もあれば、信頼できる米国もある
 次の日、安倍首相が靖国神社に参拝された。案の上、中華・韓国は態度を硬化している。尖閣と沖縄侵略を宣言している中国にとっては日本が普通の国になるのが怖いのだろう。韓国は靖国参拝で日韓関係は最悪になったというが、もともと最悪だったことははっきりしている。米国の日本担当者たちは、国務長官と国防長官を千鳥ヶ淵に行かせて「靖国神社に行くな」というサインを出していたのに、それを平然と無視する日本の首相に腹を立てているのだろう。「失望した」とのことだ。EUのアシュトン外相は、東アジアに緊張をもたらすとしているようだ。
 しかし個人的には米国の日本政策担当者とイギリス出身のアシュトン氏にはガッカリしている。忙しすぎて、ソフォクレスギリシア悲劇など読んでいる時間がなかったのだろう。
 中国・韓国は、もともと靖国神社を誤解している。東アジアの社会は相互に影響しているが、彼らの社会と日本社会とではモノの考え方が違う。もともと日本の中だって冠婚葬祭は土地の習俗だ。彼らは自らの国内政治の矛盾から国民の目をそらすために、反日教育反日宣伝をし、自らの社会の延長で、日本の靖国神社をとらえている。内政干渉ということもできるだろう。一国の首相が自国の戦争で亡くなった将兵の慰霊するなといわれたり、慰霊の作法と場所に注文を付けられることなどあってよいわけがない。
 日本でも彼らの意見に同調する人たちもいる。米国においても、意図的に、その誤解を広げようとしている人々がいる。しかし礼儀正しく、謙虚に、誠意をもって、その誤解を解かなければならないと彼は言う。
 首相は不戦の誓いもされた。靖国神社に祭られてない全ての人々の慰霊もされた。その言葉に嘘はないように思われる。硫黄島の滑走路の下に眠る一万数千柱の遺骨の回収事業が来年からようやく始まる。自分はこの4月に滑走路に土下座して涙した彼に共感するところが多い。
 敗戦後、靖国神社ローマ教皇の支持で存続することができた。だからカソリック信者の首相も参拝した。「日米は敵同士として戦ったが、今では歴史を乗り越え、困難な状態にある友人を助けるため連携している。リンカーン元大統領は『英雄をたたえない国に未来はない』と言った。海軍墓地に英雄がまつられているのを大変うれしく思う」と佐世保海軍墓地で献花された米軍のハリス大将が言ったという。
 ガッカリする米国もあれば、信頼できる米国もある。EU、中国、韓国、日本もまた同様である。