靖国神社を8月15日に参拝せず

 安倍総理大臣は夏休みに選挙区の山口に帰って松陰神社に参拝したという。山口では、「日本の子供たちが誇りをもてる国をつくっていくのが、私の大きな目標だ。このための教育の再生、さらには将来の憲法改正に向けて頑張っていく」と述べたという。その志を信じて支持したい。
 15日の終戦記念日には、米国の意向を配慮して靖国神社を参拝されなかった。肩透かしを食らった中国・韓国そして日本のメディアの憤懣はやるかたない。彼らは参拝しなければ参拝しないで何とかこじつけて日本を非難し、国民の関心をそちらに向けようとする。
 1978年(昭和53年)8月12日、北京で日中平和友好条約が締結された。条約の骨子は、主権・領土の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉である。時の総理大臣の福田赳夫さんは、3日後の8月15日に靖国神社に参拝した。訒小平が、日本との条約を締結した目的は、この日本の技術と富を中国に取り込むことにあった。中国人が日中間の条約は守るべきだから守ろうとしたことは一度もない。その時々の目的に応じて条約を使ったり無視している。
 35年たって今年の6月にカリフォルニア州で、オバマ大統領と習近平国家主席による、米中首脳会談が行われた。2人は通訳を交えて、8時間にわたって会談したが、中身がまったくなく、日本批判を執拗に繰り返したという。
 5月に、韓国の朴槿恵大統領がワシントンを訪れた時もそうだった。朴大統領は「日本が歴史観を歪めて、アジアの安定を脅かしている」と訴えた。この発言は、アメリカへ向けたよりも、人気取りのために、自国の国内へ向けたものだった。
 はたしてこの数十年を振り返って、日本は中国・韓国に何か悪意ある行動をとっただろうか。自虐的に謝罪し、感謝されることのない援助の連続だった。中国・韓国とも経済に大きな問題を抱え、社会は極めて不安定、内部の政治的な対立は激しさを増しているがゆえに、日本に責任転嫁をはかり、資金や技術の調達を図りつつ、自国の国民の憎悪の対象を外に作ろうとしていることは明白だ。主権・領土の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉はどこへ行った。
 しかし、ことの善悪成否は別にして、米国は、現在、東アジアにおいて緊張が高まることを望んでいない。米国は、超大国として振る舞えなくなったのか、外交戦略に焦点が定まっていない。向う10年間で連邦支出から110兆円を削減しなければない。その半分が国防費だ。中東の社会情勢が緊張を高めている時に、東アジアで同時に緊張を高めることはできないという判断だろう。
 首相が、8月15日に靖国神社を参拝しないことは、意図して彼らに騒ぐ口実を与えないという意味で大人の判断だった。同時に、数名の閣僚が、当日参拝し、戦没者の慰霊は心の問題であり、中国・韓国だけが騒いでいると述べた心情もよく理解できるのである。彼らは自国の問題の眼を逸らしたいがために、日本を問題だと騒いでいる。靖国神社の参拝風景を見れば、その静寂と祈りが、慰霊と平和への決意であって、軍国主義とは無関係であることははっきりするだろう。
 誇りある日本を守るためには、憲法を改正し、邪悪な勢力から日本を守らなければならない。