これから1年の東アジアの大変動

 小型の核兵器弾道ミサイルを作った北朝鮮に対し、韓国は67%の国民が米軍の枠組みの中でではあるが核武装に賛成したという。昨年末に韓国の大統領選挙で朴大統領が負けていれば、韓国は事実上、北によって統合されたとみる識者は少なくない。それよりは益しなのだから、あまり韓国と事を構えてくれるなというのが、米国の日本に対する考えなのかもしれない。ただ韓国は既に米国と中国に二股をかけている。米国から問い詰められると、日本が悪いと言い出すようだ。日本から韓国の言い分だけ聞いていると、何故、国交を断絶しないのかと思えてくる。明確な敵にしないためには、甘やかすしかないという。それを良いことに、反日無罪と千年謝罪を主張しだした。ただ半島を千年属国にしていたのは中国であって、日本ではない。
 いつの間にか気がついてみると、東アジアで核武装してないのは日本だけという状況になりつつある。6ヶ国協議は結局、北の核武装を防ぐことができなかった。だからもうやめても良いのではないか。北朝鮮を支援する主体は韓国であって日本ではないことはハッキリしている。「普通の植民地」は、宗主国にお金を払って独立する。そうだとすると、いつの間にか日本は半島の植民地となっていたのかもしれない。北と独自に交渉して、200名なり300名の拉致被害者を返してもらうべきではないか。既に主権が侵されていることが明らかなので、自衛隊が防衛出動して奪還計画を実行しても良いと思う。
 オバマ大統領の中東訪問で明らかになったことは、まだ時間があるとはいうものの、1年後にはイランの核武装が可能になるので攻撃したいと主張しているイスラエルを説得している構図だった。危機が起きれば、削減された米軍は中東に向かい、アジアに空白ができる。日本は、そのときに備えて何をするのだろうか。防衛予算を400億円増やしただけで足りるのだろうか。最短期間で自力で守る国に変身しなければならない。
  1-1 戦争前夜の北朝鮮
  1-2 米国の対応
  1-3 中国に付き従う韓国 
  2-1 中国海軍、パラセル諸島ベトナム漁船に無警告で発砲炎上
  2-2 中国のロシアからの武器購入に関する報道
  2-3 中国からみた日本の政治 
  3-1 北方領土択捉島
  3-2 ベレゾフスキーとプーチン
  3-3 シベリア・極東に対する中国の進出と主張
1.半島情勢
1-1 戦争前夜の北朝鮮 
 北朝鮮朝鮮戦争の休戦協定を白紙に戻し、ソウルとワシントンに核爆弾を落とすと脅している。差し迫った軍事的脅威があるわけでもないのに、この騒ぎ方は尋常ではない。平壌などの映像は、逆説的だが、金正恩第一書記の権力基盤の弱さと春の食糧不足を意味しているように見える。
このところの核実験、それに続く強硬姿勢について、対中関係を重視する張成沢・国防委員会副委員長らが抵抗したが、結局軍を中心とする強硬派に金正恩が同調し押し切られたという情報も流れているという。「人民生活向上」で民心を掌握できない金正恩にとって、外に敵を作り内を引き締めるという方法が最も手っ取り早いし、経験のない指導者には他の選択肢はなかったのだろう。
 当面の標的にされた「キーリゾルブ」などの軍事演習も、予定通り進んでいる。「連合戦闘司令部模擬訓練センター」が公開され最先端技術による両軍の連携や指揮の様子が報じられている。
1-2 米国の対応
 米国は、北朝鮮の攻撃に備えてということにして、アラスカに迎撃ミサイル(GBI)14基を追加配備すると発表した。日本の京都府京丹後市自衛隊基地に配備する予定の移動式早期警戒レーダー(Xバンドレーダー)を急ぐ意向も示したという。日本も南西諸島の守りを固めなければならない。何時またミサイル実験がなされるかわからない。
1-3 中国に付き従う韓国
 昨年起きたことは、韓国は、中国側についたことである。米国にはまだそれがわかっていない。李明博大統領の竹島への不法上陸のあと、日本は韓国との通貨スワップ協定(追加分)を延長しなかった。その代わりに韓国は中国にスワップ協定を持ちかけ、経済関係を強化した。「日韓軍事情報保護協定」を締結しないとしたのは1時間前だという。これは、韓国から軍事情報が漏れるために米国が結ぶことを望んでいたものだった。韓国は、米国の重要な軍事情報が入ると密かに中国に高官を送って逐一報告していたという。米当局に批判された韓国は、「日本が植民地化を反省せず、慰安婦問題を無視するからだ」と強弁した。その一方で、韓国は、韓国に脅しをかけていた中国と「中韓軍事協定」の締結を提案した。アメリカと中国に二股がかけられると少なくとも韓国は考えているようだ。1月には靖国神社に放火した中国人を、条約に基づいて犯人を引き渡すように求めたのに対して中国に送還してしまった。朴槿恵大統領が、これまでの順番を変えて日本大使より先に中国大使と会見した。識者は、韓国人には、日米が衰退して、中国が興隆するように時代をみている。米国から不実をなじられたら日本の反省が充分でないなどと責任転嫁するという考えだという。
2.中国
2-1 中国海軍、パラセル諸島ベトナム漁船に無警告で発砲炎上
 ベトナム政府は、南シナ海のパラセル(西沙)諸島周辺海域で、中国海軍の艦船がベトナム漁船1隻に発砲し、漁船は積んであった4つのガソリンタンクとともに炎上した。中国海軍艦船は、漁船を約30分間にわたり追跡した後、警告なしに発砲した。乗組員にけがはなかった。ベトナム政府はこの事態を重く受け止め、在ベトナム中国大使館を通じ、中国政府に「非常に深刻な事案であり、ベトナムパラセル諸島の領有権主張と、漁民の生命を脅かすものだ」と強く抗議したという。
2-2 中国のロシアからの武器購入に関する報道
 ロシア製戦闘機「スホイ35」およびディーゼル電気推進式の「ラーダ級」潜水艦4隻を購入しうることになった。中国がロシアから重要な軍事システムを購入するのはおよそ10年ぶり。
 1月末にスホイ35については少なくとも約40機を購入することになっていた。インターファクス通信はスホイ35について日本が航空自衛隊の次期主力戦闘機として購入する最新鋭ステルス戦闘機F35にも対抗可能だと強調している。
 「ラーダ級」潜水艦は、潜水艦や艦船に対して独自の作戦を実施することを目的に設計された。ロシア側の報道によると、船体に施された新型の対ソナー用コーティングを特色とし、航続距離は拡張され、新型の対艦及び対潜兵器を搭載する新型潜水艦との事である。戦闘機の数といい潜水艦といい、日本を相当意識しているように感じられる。
 一方、タス通信は、ロシアで外国との軍事技術協力を担当する部門の消息筋は25日、中国がロシアと潜水艦や戦闘機の購入契約を結んだとする中国中央テレビの報道を否定した。「軍事技術協力の問題は、習近平国家主席のモスクワ訪問中、全く取り上げられなかった」と述べ述べているのが興味深い。
2-3 中国からみた日本の政治 
 香港の政治アナリストは、「日本経済は基本的に弱いのだから、日中関係が悪ければ日本が大きな痛手を受けるという。だから日本は折れてきたというのが麻生副首相と高村副総裁の中国訪問だ」と分析しているという。面白い見方だ。韓国と日本を混同しているのではないか。両氏は5月前後に韓国で開かれる日中韓首脳会議を控えた4月に訪中して、日中首脳会談の実現を働きかけるという。本当に自民党は多士済々だ。
3.ロシア
3-1 北方領土択捉島
 貨物船が流氷に阻まれて3月2日から入港できない状態が続いているという。商店の生鮮食品の商品棚はがらがらだという。択捉島では、主な食料品はサハリン島からの貨物船輸送に頼る。 悪天候や流氷の影響で船が着岸できないことはよくあるが、3週間近くも途絶えることは珍しいという。ただ島内には穀物やパスタ、缶詰の備蓄があり、直ちに飢餓に陥る状態ではないという。日本の気象庁によると、サハリンから北方領土の間のオホーツク海の大半がびっしりと流氷に覆われているという。
3-2 ベレゾフスキーとプーチン
 90年代ロシアを支配し、「クレムリンゴッドファーザー」とおそれられたユダヤ系新興財閥ベレゾフスキーが、亡命先のイギリスで亡くなった。
 1980年代「ジーンズ」の生産と販売からビジネスを始めたという。自動車販売に手を広げ、1995年に国営放送局に参画し、民放を買収して様々なメディアを支配し、1996年に大手石油会社「シブネフチ」を買収した。その年選挙では、共産党のジュガーノフが有力だったが、財閥が結束しメディアを操作し、エリツィンを当選させ、権力と富の両方を手に入れ、1998年に独立国家共同体執行書記になった。ところが、ベレゾフスキーは1999年、プリマコフ首相に追い詰められ、かなり孤立したときに、「FSB(旧KGB)長官」のプーチンがやってきて、ぺレゾフスキーに取り入る所から、プーチン大統領が生まれた。その後、両雄並び立たずで対立が始まり、ぺレゾフスキーは2001年に財産を売却し、ロンドンに亡命する。その後、石油価格の回復と経済の実権をユダヤ財閥からロシア国家に奪い返したことで、プーチンの政権基盤と人気が固まった。
3-3 シベリア・極東に対する中国の進出と主張
 習近平主席のロシア訪問を終えて新華社の記事を抜粋引用する。あからさまに、中国人の願望がこのように表明されれば、プーチン大統領でなくとも、不安になり警戒をするだろう。何年か先には、「シベリアは中国のもの」と言い出すに違いない。
(以下、抜粋引用)ロシアと中国はそれぞれ自身にとっての相手の価値をはっきりと知っている。シベリアと極東を開発には中国の協力が不可欠だ。ロシアには心の準備も決意もない。ロシア極東地域は、土地を中国人にリースし、経営事情を中国人に任せることを考えるべきだ。ロシアには中国からの労働力が必要だ。ロシアは強烈な移民恐怖症を抱えている。ロシア人はすべての移民を敵視し、失業や賃下げなどの責任を中国人を含む移民に押し付け、一生懸命に働いて貯金を中国国内に送金した中国人に抵抗感を持つ。こうした社会意識を変えるには数十年がかかるだろう。(引用終り)