天下の暴論 2013年3月(2)

  1.2年目の3月11日14時46分黙祷
  2.北朝鮮と交渉を
  3.1ミリシーベルトの神話
  4.「闇なべTPP」のいかがわしさ
  5.世界で最も険悪な日中関係
  6.防衛戦争の設計

1.2年目の3月11日14時46分黙祷
 東日本大震災から2年がたった。今もまだ31万5千人が避難生活を送り、福島県では多くの住民が故郷に戻れる目処が立っていない。
 一番酷いところは政府が直接土地を買い上げて特別地域とする制度をつくったらどうだろうか。そこに新たな産業資本の集中投資を行なえば良いと思う。そうしたことができる法律をつくれば、公共工事や米軍基地や水源地の問題の解消にも役立つかもしれない。
2.北朝鮮と交渉を
 朝鮮半島では、米韓合同演習が始まった。国連安保理の制裁強化決議に対抗し、北朝鮮の一方的な「休戦協定の白紙化」宣言で緊張が高まっているという。北朝鮮国内はすでに戦時の雰囲気で重武装した軍人が増えており、一部地域には軍用米の配給も行われたという。もしかしたら既に食料が不足しているのではないだろうか。
 年末のミサイル実験で破談になったが、北は明らかに日本から援助を引き出そうとしていたからである。気候の変動の影響がないわけがない。制裁しつつも、並行して交渉し拉致被害者を取戻さなければならない。どこかに蒸気が排出できる安全弁がないままに追い詰めるのは得策ではないかもしれない。
3.1ミリシーベルトの神話
 民主党ポピュリズムの最たるものが、除染の基準値を年間1ミリシーベルトとしたことだった。もともと医師や看護師、鉱山労働者、造船技師など職業として放射線を浴びる機会の多い人々には5年間で100ミリシーベルトつまり年間20ミリシーベルト以下、または1年で50ミリシーベルト以下という基準があった。日本人は平均で、自然界から年間1・5ミリシーベルト放射線を浴び、レントゲン検査やMRI検査などの医療行為で年間4ミリシーベルト、さらに食物を介して0・5ミリシーベルト、合計6ミリシーベルトを浴びるという。年間1ミリシーベルトという神話が復興を遅らせているという。桜井よしこさんのコラムに書いてあったので数字を書きとめておいた。
4.「闇なべTPP」のいかがわしさ
 TPPは新たに交渉に参加する国に、〈1〉合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない〈2〉交渉の進展を遅らせない〈3〉包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する、といった条件を出しているらしい。3条件を出したのは、交渉を先行して進めていた米国など9か国だそうだ。
 安倍首相は、交渉力も情報収集も強化し、国益を守るために全力を尽くし、結果を出すと述べ、関税撤廃の例外品目が認められるよう努める考えを示したという。そんな「闇なべ」条約に入る必要はないと思う。
 断ったところで「入ってください、日本の条件は何でものみます」とやって来るはずだ。日本はそれだけの国になっていると言うのが日下公人先生の見方だ。
 確かに締結後も5年間はまったく情報を開示できないというのは、どう考えても、まともな条約ではない。
5.世界で最も険悪な日中関係
 イアン・ブレマー氏のユーラシアグループによる現時点での2国間関係で悪い方からのトップ10をロイターが報じていた。第1位は、日中関係だという。日韓関係も7番目だという。中国は、日本、米国、インドと対立しており、ロシアも米国、EU、サウジ、英国と対立している。フォークランドでも、その帰属をめぐる住民投票が予定されていて、アルゼンチンと英国が少し熱くなっているという。
6.防衛戦争の設計
 専門家は、尖閣諸島で武力衝突があっても、制空権、制海権を持っているの日本が負けるはずがないという。そうだとすると、相手側の得意なテロと謀略を組み合わせてくる可能性がある。既に相手側の侵略意図は明々白々であり、棚上げは一時的な時間稼ぎに過ぎない。棚上げにして守りを固めるなら賛成である。棚上げにして放っておくのは、相手に差し出すのと変わらない。13万人いる在留邦人の帰国命令を何時出すのであろうか。それは国の責任もあるが、企業の責任でもある。
 武力衝突に勝ったところで、どこまで敵を追いかけて攻撃するのかも決めておかなければならない。守る側の戦争設計はなかなか難しい。サイバーテロや宇宙空間からの攻撃、ミサイル攻撃も考えなければならない。中東から運ばれる石油や天然ガスシーレーンの防衛も考えなければならない。彼らがシーレーンをどう守るか工夫しているのは、相手側の補給路を攻めることも戦略の選択肢に考えている証拠だ。中東の平和も原子力発電所の稼動も、日本の安全保障のためには必要である。長丁場の戦いなので、経済力も必要だし、情報収集能力もあげなければならない。スパイ防止法防諜機関の強化も必要だろう。
 そう考えると南西諸島の空港のある島には事前に守備隊を置き、尖閣諸島にも早急に人を配置しておくほうが安く済むのではないか。その上でオスプレイの購入や核武装した原子力潜水艦を持つことが重要になる。それまでの間どうするのだろうか、本当は国会でそうしたことを議論するだけでも大きな抑止力となるのではないか。中国が侵略を始めているのに気がつかないふりをする、メディアと政治家は何のために働いているのだろうか。
 日本の防衛は、考え方としては、まず米軍無しに考えるのが当然だろう。