東アジア反日トライアングルとの戦い(まとめ)

 「東アジア「反日」トライアングル」といういう本は2005年に古田博司先生が文春新書から出された本の題名だ。表題にその刺激的な言葉を使ったが、内容は北朝鮮、中国、韓国で今起きていることと報じられていることを自分なりにまとめたものであり、古田先生の見解とは関係が無い。ただ折に触れて読ませていただき、いつも新しい発見がある本であることを感謝している。
1.北の核武装 
 北朝鮮の核実験に対する、日本のメディアの報道は他国と大きな違いがあるのではないか。日本のメディアは、ロケットが米国に届くようになったので米国の安全保障が脅かされていることばかり報じている。米国の心配をする前に日本の心配をしないのが変だ。北の主力のノドンミサイルは日本に向いていることを忘れている。
 米国、中国、ロシアの報道を、自分なりに要約すれば、賛否はいずれにせよ、米国も含めて「論理的には日本が核武装するのではないか」と考えている。中国は、東アジアから米国の関心を逸らしたい時に何をするのかと怒っているというのが実態らしい。米国が警戒し、日本や韓国が軍備を強化してしまうではないかということらしい。
2.中国の軍太鼓 
 今回の中国の自衛隊に対する挑発は、習近平主席が軍を完全に掌握していないためだとみる人がいるが、そうではないだろう。習氏は軍出身で太子党というのが昨年の説明だった。中国指導部にとって頭が痛いことは、2012年9月におきた反日暴動とともに、鉄道輸送統計も、人工衛星からみた夜間の照度も様変わりしてしまったことである。発表されてはいないが、経済の変調が著しい。ごまかし先送りを続けていたバブルが崩壊したのではないか。チベット、ウィグルでは政治的な主張云々よりも今日明日の食料の問題となっているという。普通の経済体制ならば調整局面だが現在の体制では調整できないという。
 貧富の格差が大きく、12月半ばに発表されたジニ係数は0.61という発表だった。政府は1ヵ月後に12年ぶりに0.4弱だと発表したが、社会状況は前者が正しいことを示唆している。いずれにしろ「投資不適格」であり、外国からの投資は期待できない。評論家の石平さんによれば指導部の間でトクビルの「旧体制と大革命」という本が読まれているという。 今の中国は革命前夜の状況に似ているという。
 環境汚染が著しく、スモッグが人口密集地を覆い、水は汚れている。外国企業を対象にした環境税導入が導入される可能性は高いが、目的税がその目的に使用されることは無いだろうという。それでは外国企業は付き合いきれないだろう。既に人体実験レベルの大気汚染なので13万人の邦人には早急に退避帰国勧告を出すべきだろう。公害は、経済成長の結果ではなくて経営判断の結果であり統治能力の問題である。
 一般に、統治能力の問題が生ずると、対外的な武力衝突を起こすしか無いとの考え方に陥りがちである。毛沢東の領土拡張主義、訒小平の金銭第一主義、江沢民反日教育を受け継ぎ、福建省で「沖縄・台湾」工作に従事してきたとされる習氏が矛盾の捌け口として、尖閣諸島への侵攻に眼をつけたのは当然なのかもしれない。日本としては望むわけではないが、毅然とした冷静さをもって、これに備え戦うしかない。
3.韓国の悪宣伝と無法
 韓国の日本に対する悪宣伝はますます著しい。自国の売春婦の海外進出が世界のメディアに批判をされる度に、日本に70年前の慰安婦問題があったので賠償しろと騒ぎ出す。河野官房長官談話がこれを補強している。河野談話の再検討が菅官房長官の元で行なわれているという。個人的には、河野談話を見直す前に、その元となった、慰安婦の証言自体を是非、研究者の監修のもとにオープンにすべきと考える。質問も反論も許されないなかでの証言とのことだが、それを知る人は国家による強制はなかったと証言している。事実に基づかない論争はたとえ日本人同士であっても虚しいからである。
 戦前の日本の植民地統治を実際に知っている韓国の人の本を読んだことが、李承晩大統領の時代に反日感情が造られたことを考えるに至った直接的なきっかけだった。調べてみるとそれは、ほぼ事実だった。李承晩ラインの設定、竹島占領自体が、反日感情を作り出す手段であり、自らの政権延命の手段だった。2月22日は「竹島の日」である。過度の優越感と劣等感を持つ人たちとは付合い難いというのが素直な実感である。
 韓国人も広告宣伝は中国についで得意らしい。「罪はなくとも謝って場を収めて水に流す」という日本流の解決方法の弱みが悪用されて、謝罪利権、賠償利権の温床となった。そして反論しないがために子孫の名誉を毀損する原因を産み出してしまった。歴史を知らないと彼らは日本を非難するが、調べれば調べるほど、彼らの歴史は事実とは異なる。
 朝鮮の奴隷制度を廃止したのは戦前の日本だった。最近もなぜかテレビでは取り上げられないが、長崎県対馬市の寺から盗まれた仏像が韓国に密輸され、容疑者グループが韓国当局に逮捕された。仏像は無事に回収されたが、日本に戻すなという運動があるという。どこが法治国家のだろうか。無法にも程があるといわねばならない。