天下の暴論 2013年2月

  (1)PM2.5の責任 「都知事よ、あなたは偉かった」
  (2)景気とは無関係な人達 通貨の安定には軍備の拡張も必要
  (3)「ブーメラン効果」と真実の「正史」の編纂
  (4)「準戦時」なのか、もう「戦時」なのか 
  (5)愚かな女性キャスターと「ハンサム・ウーマン」の伝統

(1)PM2.5 の責任 「都知事よ、あなたは偉かった」
 中国の大気汚染が著しい。直径が2.5μm(Particulate Matter 2.5)以下の超微粒子が問題だという。1マイクロメートルは0.001ミリメートルなので0.0025ミリメートル。黄砂が飛んで来るように、やはり韓国、日本にも、その微粒子は飛んできている。普通のマスクでは防げず、目の細かいN95規格の産業用の防塵マスクが必要だという。
 かつては石炭火力発電の窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が最も深刻な問題だったが、大きな石炭火力には装置がつき、ここ数年は超微粒子のPM2.5の問題だという。原因は古いタイプのディーゼル・エンジンを使ったトラック、バスによる物流にあり、その燃料の軽油に含まれる硫黄分や汚染物質だ。
 日本では石原都知事が1999年に、真っ黒なすすの入ったペットボトルを記者会見で振り回したことから技術開発と設備投資が進んだ。14年前のことだ。一時的にはそれでディーゼル車の売り上げが落ち込んだが、クリーンディーゼルの技術が開発された。  「都知事よ、あなたは偉かった。」
 テレビで日本も1960年代、1970年代はそうだったというが、地域的にスモッグが発生したことはあるが、日本全体をスモッグが覆うことは無かった。定量的な比較分析が必要だ。北の長春瀋陽から、南の珠江デルタまで、東の済南から、西の西安まで、有害物質を含んだスモッグが中国を覆っている。PM2.5が、WHOの基準値の20倍も含まれていたという。粒径により呼吸器系の各部位へ沈着し人の健康に影響を及ぼすという。北京と広東省広州を結ぶ高速鉄道は、この有害物質を含んだ濃霧のためか、河南省信陽市の近辺で運行を一時停止したという。乗客は列車の外で「閃光が発生した」などと証言している。有害濃霧に含まれる帯電した微粒子が原因で、電気系統が故障したらしい。
 日本のテレビ局が特集を組んでいて、この空気汚染を「文明の病」のように報道していたのであきれた。中国の人たちは日本の経験も、世界の経験もよく研究し知っている。原因もハッキリしている。政治の決断の問題であることはハッキリしている。だから共産党の政治危機に発展する可能性があると現地のメディアが報じている。中国は、お金があるのだから公害防止にお金を投じれば良いだけだ。これまでの中国の指導者は、ダムや電力や地質調査などを勉強した理科系出身の指導者が多かったのだが、治山・治水・環境というところで失敗しているのはどうしたことなのだろう。困ったことにそれが、アフリカや中東、アジアに拡がっていることである。
 石原環境大臣はこの前都知事の息子である。観測拠点を増やすことを表明したが、何故、中国政府に是正を申し入れないのだろうか。是正される計画が示されない限り、中国製品の輸入を禁止したらどうか。これを契機に在留邦人の引揚げを勧告したらどうか。大臣殿に申し上げる。「あなたの父は偉かった。」過去形で言ったら怒られそうなところがまた凄い。
 中国のメディアは日本がもっと支援に積極的になるべきと主張している。しかし中国はどんなに支援しても、看板一つ残さないし、報道もしないので手伝い甲斐が無いというの人が多い。
(2)景気とは無関係な人達 通貨の安定には軍備の拡張も必要
 ずっと続いていた円高は、日本の大手企業が軒並み赤字になるほど過酷だった。官公庁や日銀やNHK、テレビ局、医療病院関係など円高に直撃されない人たちだけがヌクヌクとしてきた。20年1日の御用学者のくだらない意見ばかりを聞かされて、腹を立てていた人は多いのではないか。民間の雇用が削減されても、労働組合の連合は官公庁労働組合の天下だった。正しい意見が出てくるように分割したらどうか。
 為替介入の金額の大きさを自慢する愚かな首相と財務大臣がいた。ついこの間の日経新聞にもあきれた。日本売りリスク、物価高騰、日銀の独立性、資産バブルのリスクの特集があった。一見もっともだが、この人たちは何を言いたいのだろう。今年も民主党政権だったなら、今も、「日本経済は何故没落するのか」「中韓友好」を論じていたのではないか。
 アベノミクスを批判する暇があるならば、まだそうした日本売りリスク、物価高騰、日銀の独立性、資産バブルなどのリスクが顕在化するのには時間がありそうなので、「多極化時代の通貨制度の在り方」を考える人たちがいても良いと思う。激変する国際環境の中で、どこかの国に脅されても「日本の円」が、簡単に暴落しないためには「軍事の強化とエネルギーの安全保障に注力する」必要がある。軍備の強化や平和のあり方から通貨や経済政策を論ずる経済学者がいても良いのではないか。他国に脅されるような国の通貨の安定はあるはずも無いからである。それは経済学の伝統でもあった。
 過去の学者出身の元日銀副総裁が、総裁候補に上がっているという。正気だろうか。彼らの判断が間違っていたか、意見を言わなかったから、今までの日銀の政策が変わらなかったといえるのではないだろうか。どうして彼らが凄いのか、誰か説明してくれないのだろうか。
(3)「ブーメラン効果」と真実の「正史」の編纂
 ブーメラン効果という言葉が最近はやっている。経済学では、発展途上国に移転した生産技術が、それを供与した先進国の市場を脅かす結果となる現象だが、最近は別の意味で使われるらしい。それは「民主党の政治家が政府を批判すると、もっと酷いことを彼らがしていたことがわかり選挙に負けること」である。責任追求を仕掛けたほうが苦境に陥ることを意味するという。「開いた口がふさがらない」という言葉を思い出した。最近の地方の選挙では共産党にも負け始めているという。
 民主党政権が大好きだった中国や韓国では、次の王朝が前の王朝の歴史を編纂するという。現在の政権を正当化するために歴史的事実でないことを主張することもあり、周りの国が辟易することも多い。日本では捏造はご法度だが、後世のために「正史」として残さなければならない事実があると思う。
 原発事故の後の3月15日東京電力に乗り込んで、事故対応に追われる東電幹部前に1時間ほど演説した総理大臣がいたという。その映像が残っていて音が取れていないビデオが在るという。聞いていた人は、この演説をした人は狂乱しており、何を言っているか分からなくて、怒られた人たちは「彼の指示は何だったのか」と、官邸側に確認したが、官邸スタッフも答えられなかったという。そんな人をリーダーに選んだ国は不幸だった。東電は、反撃を怖れてウソをついたという。今、彼は弁解と反原発活動に忙しいようだ。隠された事実の公表も含めて、真実の正史の編纂が必要である。
(4)「準戦時」なのか、もう「戦時」なのか 
 防衛大学校編纂なる軍事学入門という本がある。今も新しい版が出ていると思う。それには戦時、準戦時、平時の3区分がある。その基準に従って考えれば、今は既に「平時」ではなく、少なくとも「準戦時」に相当する。隣国が戦争の準備をし、尖閣諸島地域に艦船・航空機を集結させているからである。「準戦時」に何が起こるかというと、防衛(交戦)海域などの設定、海上封鎖などによる経済的圧迫、対象国に向かう船舶などの臨検・抑留・拿捕、対象国にとって重要な地域(水域)陸海空路の封鎖、対象国周辺への軍事力の集中・展開である。火器管制レーダーの照射をわが自衛隊のヘリコプターや艦船にしたことが明らかにされた。3キロの距離なので、引き金を引けば3秒で武力衝突が始まるという。普通の軍隊ならば応戦しているという。
 ハッキリしないのは、そのことが、どうやら今回が初めてのことでは無いらしい。9月11日前にそうした行動に出ていたらしい。前首相と前副首相が直ちに否定したので沙汰止みになったが、前政権が握りつぶしていたとの情報があり、事実を明確にすべきである。潜水艦の魚雷発射管に注水される音まで捉えていたという。ある人によれば、日本の警察でも、銃を向けられたら撃って良いことになっているという。そうでなければ、治安は守れないだろう。国民が知らされないままに、「戦時」数秒前の事態になっていたことになる。
 福島原子力災害の議事録の有無も含めて調査も含めて第三者委員会による正史を編纂すべきと思わざるを得ない。何年かかったら集団的自衛権や正当防衛としての自衛権の定義が決まるのだろうか。その意味では集団的自衛権についての委員会がスタートしたのは画期的なのかもしれない。
 習近平氏の経歴の中で、最近注目されているのは福建省にいた1985-2000年の間に「沖縄」工作を担当していたことである。4回ほど沖縄を訪問したことがあるという。オスプレイ反対の先頭に立つ翁長(おなが)那覇市長とは、その頃から知り合いだという。事実かどうか確認すべきだろう。事実だとすれば、最近の翁長(おなが)那覇市長の過激な言動も少し理解できる。若い頃担当していた仕事を完成させたいというのは、人の常である。だとすると尖閣諸島と沖縄の侵略はこれからいよいよ本格化するのかもしれない。
(5)愚かな女性キャスターと「ハンサム・ウーマン」の伝統
先日、銃を持って離島奪還訓練をする自衛隊員に向かって「怖くは無いんですか。人を殺すんですよ」とインタビューするテレビのキャスターがいた。失礼ながら10代20代ではあるまいし愚かにも程がある。どうせなら、中国軍に行って「何で他国を侵略するのか」と聞いてきたらと思ってしまった。
しかし、よく考えてみれば、自分の周辺にいる女性陣は、会津でも同志社でも無い普通の田舎のオバサンではあるけれども、ハンサムウーマンの伝統に沿っている人が多い。ピストルを突きつけられても撃たれなければ何故反撃できないのか、おかしいと怒っている人がかなり多い。何で自衛隊が先にやられなければならないのか理解できないという。それどころか若いお嬢さんたちはもっと過激だという。彼女たちは普段表立って政治的な意見を述べることはまず無い人たちだけれど、そんなサイレントマジョリティが急速に増えている気がする。