だいぶ気が早い夏の参議院選挙の見方 2013年2月

 次の参議院選挙で「維新の会+みんなの党」連合の合流作業が進んでいるという。国会内で会談し、日銀法改正案や「歳入庁」設置法案などの共同提案を目指すことで一致したという。今後は隔週で定例化することでも合意した。1月30日には両党の政調会長会談で旧太陽の党合流前に合意していた共通政策を改めて確認し、今後は候補者調整を急ぐという。先の衆院選では両党候補が約30選挙区で競合し結果的に自民党が有利となったという。普通に考えれば民主党にも有利に働いたのだと思う。解散が遅れれば、もっと選挙準備が進んだはずだ。両党の実務を担当する幹部は「参院選の1人区から3人区までは勝手に公認発表はしない」と強調し、2月末に両党公認候補を発表するという。ただ渡辺代表は、どうも維新の会の両代表とも合わないようだ。この2党の連合が参議院選挙の焦点の一つとなる。
 だいぶ気が早いが、現時点で参議院選挙がどういう結果になるか推論を進めてみたい。もちろん誰が立候補するかははっきりとは知らないし、応援したい人たちはいるが、確たる個人的な利害は無い。基本的には選挙制度と過去2回の参議院選挙でどこの政党が勝っているのか、1月末の時点での世論調査の支持率からの推論である。
(1)選挙制度
 参議院選挙は2つの方法で行なわれる。まず47都道府県別の選挙区選挙では3年ごとに任期6年の議員が73人選ばれる。東京都からは5名、大阪、神奈川が4名、千葉、埼玉、愛知が3名、2名を選ぶ人口の多い県が10選挙区、1名を選ぶ県が31選挙区である。もう一つの選び方は、全国を1つの選挙区とした比例代表制である。こちらも3年ごとに任期6年の48名を選ぶ選挙となる。個人名あるいは政党名で投票させ、まず、政党ごとの当選者数を決め、政党の中から個人名の得票の多い順に当選者を決めていくという制度である。
(2)世論調査
 さて1月末の共同通信社世論調査では、第2次安倍内閣の支持率は66.7%になり、夏の参院選の比例投票先は37.2%が自民党を挙げ、日本維新の会の12.1%、民主党の8.8%、みんなの党の6.2%とのことである。維新の会とみんなの党が合流したグループの支持率を単純に18.3%とすると、民主党の2倍となる。ここから半年で、大きく差が出るのは、「維新の会・みんなの党」連合と民主党の支持がどう動くかだ。議席ベースで考えれば一方が伸びれば他方が縮むという関係を想定している。 
(3)2007年と2010年の参議院選挙の分析
 今回改選になる議員が当選した2007年の選挙においては民主党+国民新党の勢いが強く、選挙区で40+1名、比例区で20+1名がそれぞれ当選した。この時このグループの1人区での取りこぼし数は6選挙区だった。2010年の選挙では選挙区で28+0名、比例区で16+0名だった。逆に自民党公明党は2007年の選挙では、選挙区で23+2名、比例区14+7名と大敗した。2010年の選挙では早くも民主党政権の迷走が問題とされ、野党グループとして、選挙区で39+3名、比例区で12+6名の議席を得た。このとき自民党の1人区での取りこぼし数は8選挙区だった。
 つまり候補者の選択と選挙活動の運営が良ければ、選挙区の選挙では、そのとき有力な第一党が47選挙区で各1名づつ当選させる可能性が高い。しかしながら1人区での取りこぼしは、6-8選挙区あるとみるのが平均的である。比例区は、組織的支持と候補者の魅力・知名度と政党ごとの勢いの問題であり予測するのは難しい。比較第一党は比例区では12-20名前後の候補者を当選させうることとなる。
(4)比例区の獲得議席の仮説
 全国を1選挙区とした比例区では、公明党共産党社民党その他の底堅い得票を持つ政党の合計獲得議席を過去2回の選挙を参考に13議席前後とおき、自民党比例区議席数を2010年と同じ14議席おくと、「維新の会・みんなの党」連合、民主党の2党の議席は21議席となる。これを「2対1」とみると、「維新の会・みんなの党」連合は14議席民主党は7議席の配分となる。自民党と「維新の会・みんなの党」連合を同じ議席数と想定するのは、少し理不尽なような気もするが、比例区は別の政党へという人もいるし、過去2回の選挙の大きい議席数にあわせてみた。
(5)選挙区の獲得議席の仮説
 比較第一党が47選挙区のうち、1人区から7議席を取りこぼすと、自民党は40議席となる。公明党が大都市の選挙区で3議席を獲得すると、残りは30議席となる。それを比較第二党の「維新の会・みんなの党」連合、民主党、その他の政党が争う構図となる。それぞれ21議席、7議席、2議席とみた。
(6)夏の参議院選挙結果仮説からの考察
 もとより、選挙は候補者次第であり、何があるかわからないのが政治である。現時点での見方としてまとめてみると、自民党54、「維新の会・みんなの党」連合35、民主党14、公明党10、その他8議席となるのかもしれない。
 2016年改選の議席自民党48、「維新の会・みんなの党」連合11、民主党42、公明党9、その他11である。合計すると、夏の参議院選挙後の状況は、自民党102、「維新の会・みんなの党」連合46、民主党56、公明党19、その他19となる。自民党公明党の合計は、かろうじて半数の121議席に届くのかもしれない。もう一つの組み合わせとして考えられている自民党と「維新の会・みんなの党」連合の合計は、148議席となる。これに公明党議席を加えることによって167議席となり、ようやく参議院の3分の2以上である162議席を超えることになる。憲法改正を発議すること自体、まだかなり厳しいと言わざるを得ない。
 総じて安倍内閣はこの1ヶ月の間に実に多くのことを成し遂げつつあることを国民の一人として素直に喜び感謝している。何より時代の閉塞感が取り払われつつあると考える。ただ国家の行く末を思えば、更に多くの人々の努力と天運を願わざるを得ない。