総選挙30日前の見通し 

 衆議院が解散した。迷走、混迷、停滞の民主党3政権だった。今でも社会保障改革と一体となった増税とメディアは言っているが、増税以外はほとんど議論していない。消費税収入の用途、脱原発、TPPの推進が争点だとするメディアの議論には抵抗を感じる。経済を回復させ、中国・韓国にどう対するのかがテーマであることはハッキリしている。レイムダックに陥った状態でロシアからガスを買おうとした非常識な人たちが政権中枢から退いたことが最大の国益だ。きちんとした外交安全保障が論じられる政府がまず必要である。
 テレビのニュースキャスターには最近のGDP指標を取り上げて解散による政治空白が問題だとする人もいるが、GDPが発表されなければ、景気がわからない人たちが政治の中枢にいること自体が障害だった。既に自民党の安倍総裁の発言は現実の経済を動かし始めている。デフレからの早期脱却に全力を挙げる姿勢を示し、日銀法の改正も含めて日銀に政策転換を求めることを明言しているため、円高が是正され、株価が上昇している。ここ数年の財務大臣よりもよほど実績を上げている。
 環太平洋経済連携協定TPPでは、「例外品目」を多く勝ち取ることに着目したうえで、交渉に参加するとしている。原発の再稼働についても、党内の異論を抑えて政府が責任を持って再稼働を進める方向性を打ち出している。こうした政策について結局は何も打出せなかったのが野田政権であり、冒頭に「停滞」と表現した理由である。
 解散が決まってから数日で9人の代議士が民主党からの離党を表明した。現時点で480議席の平均的予測をイメージすれば、そのうち410議席自民党民主党、維新4派で争奪することになるのではないか。その他の政党は比例区と強い選挙地盤の選挙区を中心に比較的に手堅い戦い方をするからである。選挙上手の小沢グループは来年7月に改選される参議院議員を、地元の衆議院選挙に転進させて議席を確保しようとしている。わからないのは、民主党がどこまで落ち込むか、維新4派が大都市圏を中心にどこまで戦える候補を用意できるかである。維新4派が100、民主党が80とすれば自民党は230議席となる。維新4派と民主党がこれを下回れば、その分自民党が伸びるという構図ではないだろうか。自民党には前回の落選議員が多く、この3年間それなりに選挙区を歩いているからである。
 総選挙後の見通しについては、選挙の結果次第だが、参議院での多数を求めるために連携が模索される。7月末の参議院選挙とその前の衆議院制度の変革と定数是正をにらんで、3月末までの百日プランの立案が求められている。