中国の天才と人災

 米国大統領には、オバマさんが再選された。米国民の投票行動の人種別統計が印象的だった。ヨーロッパの政治を観察していても、多文化主義はうまくいかないという結論が出ているかのようだ。8日より北京では習近平氏が最高指導者となる共産党大会が始まった。今後10年に対してどのような方向付けがなされるのか、多くの日本人も注目している。
 10月になってからも、日本に対しては「第二次大戦中の軍国主義の反省が足りない」と中国の国防大臣や、駐日大使が日本を非難している。北京マラソンも国籍を理由に一時は排除された。中国の商務大臣は「経済関係の損失が起きた責任は、完全に日本政府にある。日本の企業、国民は中国との経済貿易を強めることを望んでいる。日本政府が過ちを認めるべき。」と述べ、同時に「中国にある日本企業を保護することは当然である。法律に基づいて、中国で操業する企業や従業員の安全を守り、正常な生産と経営を守る。」と断言したという。
 おそらく対日工作責任者の振り付けが決まったのだろうが、馬鹿馬鹿しくて話にならない。中国政府がそそのかした暴動であることは日本人の誰もが知っている。日本のみならず、先進国の企業や国民ならば、商務大臣の発言自体が矛盾していて、中国は法治国家ではないと明確に認識している。日本の政治家がなんと言おうと、個人と企業が中国をリスクと見ることは止めようがない。
 ダライ・ラマ14世猊下が来日されている。日本では党派を超えて人気がある。そのお言葉に多くの人が心を奪われている。どこかのジャーナリストが、日中両政府が尖閣問題を解決することが出来るかと質問すると「基本的に、中国は日本を必要としており、日本は中国を必要としていると思う。もっと全体論的に考えるべき。小さな意見の食い違いが衝突を生み出してはならない。もっと広い視野で考えるべきだ」と答えたという。チベット支援の議員連盟超党派で設立されるとのことだ。青海省では大きな抗議行動が起きている。
 ここにきて中国経済の減速傾向は一段とハッキリしだした。バブルが崩壊し始めているという記事を読まない日はない。様々な方法でバブル崩壊の規模が推定されている。正確だとされる貸出残高は2010年時点で40兆元つまり、1元12.8円換算で500兆円だった。この500兆円のうち5割が不良債権だと考え、250兆円が不良債権だとの説がある。日本のバブル崩壊の際は貸出金の6割が不良だった。これはかなりの大きさだ。
足元の企業活動はどうか。輸出先の欧米の景気が良くないことに加え、労働賃金も値上がりし、上海の労働者は月に7万〜8万円の水準だという。今まで進出を続けていた日本企業も、反日暴動でその動きが止まった。一方で、ミャンマーのホテルは大混雑で空きがないという。メディアにおいて、バングラデシュベトナムの情報が増えてきた。
 中国ではやっている笑い話に、「米国が戦わないで中国に勝つ方法」というのがあるという。それは(1)中国の政府高官の海外銀行口座の残高を発表し凍結すると脅す(2)米国のパスポートを持つ中国人官僚の名簿を公表すると脅す(3)米国に住んでいる家族の名簿を公表すると脅す(4)ロサンゼルスにある愛人村を一掃すると脅す(5)米国在住の高官の家族をグアンタナモ刑務所に収容すると脅す(6)中国国内の不満分子に武器を提供すると脅す、というものだ。よく考えると全く笑えないが、笑うしかないのだろう。
 中国の米国要人工作はかけてるお金が桁違いに凄いという。資金供与、贈り物、料理に何とかと、何でもありらしい。親中派を抱き込むだけでなく、親日派や愛国派、無関心派を親中派に変える工作をしているという。昔、蒋介石の奥さんの宋美齢が、日中戦争から第二次世界大戦に至る米国の対日政策に大きな影響を与えたといわれたことを思いだした。社交術にかけては貧富身分の上下に関係なく、中国人は天才だと言われている。