シャットダウン 妄想内閣 

 臨時国会が始まった。首相の所信表明演説があったが、国民生活を人質に、強気一辺倒で野党が妥協することを狙っているようだ。追い詰められているため、少しでも弱みは見せられないということなのだろう。自民党の安倍さんの質問に対する与党の野次が酷かった。弱みを見せると民主党の離党予備軍が動き出すからだ。6人が離党すれば衆議院与野党同数となるという。
 11月に予定されていた地方交付税の配布は市町村分まで含めて停止することを内閣が決めたという。景気対策どころではない。普通に考えれば、それだけで首相は辞任しなければならない。首相は、現実をシャットダウンし、自分の言葉に酔わなければ、精神の安定が保てないのだろう。きわめて危険な精神状態だと思う。もはや妄想内閣と名づけても良いのかもしれない。国家戦略大臣の事務所費問題が発覚した。何年か前の安倍内閣で閣僚が辞任した問題と同じだ。
 少し前に米国のテレビドラマで「ザ・ホワイトハウス」(The West Wing)という大統領とその側近達を中心に描いた政治ドラマがあった。米国の政治制度を学ぶためには最高の教科書のようなドラマだった。エンターテイメントとしても人気があった。そのなかに連邦政府の予算案が議会を通らないため、ホワイトハウスもシャットダウンされるというエピソードがあった。特例公債法案が通らなければ、まさしくシャットダウンが始まる。テレビドラマの争点は、たしか社会保障予算だった。ドラマの中でも、行き詰まりの原因は民主党にあるとしていたと思う。あれはシーズン幾つの第何話だったか、少し気になっている。今、ゴールデンタイムで、その回だけでも再放送すれば、かなりの視聴率がとれるのではないか。
 ドラマの中のシャットダウンは、なんとなく微笑ましかったが、それが現実になると笑えなくなる。民主党の政治家がテレビに出てくると、言い訳にならない言い訳ばかりで腹が立つ。ニュースをシャットダウンし、合衆国憲法修正第2条の人民の武装権について調べてみようと考えた。基本的人権として武装権などと日本で言うと、それだけで逮捕されかねない。日本の留学生の若者が「フリーズ」といわれ、誤って射殺される事件が起きたのはハロウィンのシーズンだった。
 米国民は、合衆国憲法修正第2条によって、基本的人権のひとつとして武装権が保障されている。The United States Constitution、Bill of Right、 Amendment II: A well regulated militia, being necessary to the security of a free state, the right of the people to keep and bear arms, shall not be infringed.「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。」となっていて、アメリカ国民は銃を所持する権利が保障され正当化されている。日本には修正第2条はないが、総選挙がある。
 話はイタリアに飛ぶ。イタリアの裁判所が、国立災害予測対策委員会の科学者6人と公務員1人に過失致死罪で懲役6年を言い渡したという。2009年4月にローマの北東95キロの町で数千人の被災者と309人が亡くなる戸言う悲惨な地震があった。彼らはこの地震の予測を誤り、「家でワインを飲んで寝りについたらどうか」とコメントをしたあとで、マグニチュード6.3の地震が起きてしまった。日本人にとしては、何故その程度の地震で被害がそれ程大きくなったのかが、まず気になった。その町は、13世紀からの石造りの建物が多い町だったとのことなので、大きな地震がめったに起きない地域らしい。日本では東海・東南海・南海大地震だけが今年話題になっているが、東海地震関東大震災が先に起きるかもしれないのである。世界の科学者は、地震の予測は本来不可能なので、科学者を処罰するのは間違っているという。
 予測はできなくとも対応はできるというのが、現実的な考え方なのかもしれない。JR東日本は、東日本大震災のとき、東北新幹線で、27本の列車を運転していたという。早期地震検知システムの海岸地震計がいち早く揺れを検知して、新幹線への電力供給を遮断したために、時速100キロ以上で走っている営業運転中の列車が1台も脱線しなかった。同社のホームページにはさらりと書いてあるが、これは実に驚くべきことだ。
 中越地震などの過去の地震を教訓として対策を進めてきたからだという。今後も首都直下地震に備えた耐震補強対策と地震観測体制のさらなる強化を図るため、3000億円かけて耐震補強対策を行なうことを発表している。新幹線および在来線の橋脚の耐震補強を前倒しするほか、首都直下地震に備えた盛土、レンガ高架橋、電柱などの耐震補強、駅・ホームの天井と壁の落下防止対策にも着手するという。
 東日本大震災から、わが日本国政府はどんな教訓を引き出して、どんな対策を打出したのだろう。機能不全に陥った政府の組織はどこが修正されたのだろう。東北の復興はだいぶ遅れているという。大活躍した自衛隊に対し装備の改善や人員拡充がなされていないのはどうしたことだ。もうすぐ東北に2回目の冬が来る。
 テレビをつけると、米国東海岸を巨大な台風が襲っていて、高波と降雨のために地下道、地下鉄が浸水し、自動車が流され、空港も止まっている。数百万世帯で停電し、死者が40名以上とのことだ。交通機関を含めた復旧には、まだ数日かかるという。