張子の虎と絵に描いた餅

 中国の反日暴動のために保険料率が上がっているという。中国の経済制裁は日本国内でも影響を及ぼし始めた。沖縄の9月の観光客数を見ると、中国からのお客様は200人減少したとのことだ。8月までは前年同月比で大幅に増加していたので、マイナスになったインパクトは大きいらしい。
 北京では日本関係の書籍がいっせいに姿を消したという。中国国内の病院には100%日本資本の医薬品は全部撤去すること、合弁企業の場合は半分まで撤去することという通達が出ているという。その制裁を出したのは習近平氏だという。
 今後の経済見通しについて、中国との関係次第だといっている日本の財界首脳も経済専門家もいるが、彼らはお役目なのかもしれないが実に滑稽だ。中国では、バブルが崩壊し始めたこと、経済は危険ラインとされる8%以下に減速していること。社会不安があり、トップが反日活動を指示する独裁国家であることから考えて、期待をしても仕方がないというのが実感だと思う。
 それよりはチャイナリスクを考えている人のほうがはるかに多い。日本の書店では中国について書かれた本が長引く出版不況の中で異例の好調だ。多くの人たちが、自分の頭で「中国との将来」を考え始めている。自分も何冊か読んでいるが、「戦前の支那通」と呼ばれる人たちと右派の人たちの分析が正鵠を射ていると思う。上海AKBへ赴任するはずだった2人のお嬢さんの転任も延期されているという。ビザにも制限がかかっているのかもしれない。東京映画祭でも、中国の映画は上映してくれるなと中国の製作者から注文がついたようだ。
 ただ全ての日本企業が今すぐに声高に中国から撤退するにはいろいろ制約があるのだろう。進出企業は2万数千社、在留邦人10万人、現地の雇用にして1千万人という。しかし目先の関心はハッキリ別の地域に移っている。2年前の尖閣諸島漁船体当たり事件の後で、中国がレアアースの輸出規制をしたが、現在、中国のレアアース価格の続落しているという。2011年のピーク価格の1/3に下落しているという。中国国内のレアアース生産能力32万トンに対し、世界のレアアースの需要は12万トン。当てにならない中国産を嫌って、調達先を多様化しレアアースを使わない技術の開発に注力している。中国国内の業者は減産や生産停止に追い込まれているという。
 チャイナネット日本語版は中国初の空母「遼寧」を日本国民に米国第七艦隊の空母のように思い込ませたいようだ。中国第1号の艦載戦闘機となる殲15がタッチ・アンド・ゴーを繰り返していると報じている。殲15は第3世代または第3世代を上回る戦闘機で、作戦性能に卓越、優れた艦載機の特徴をもち、空母上での正確かつ効率的な運用が可能で、中国海軍の海・空一体の作戦力が形成されるという。それは大型で航続距離が長く、弾薬搭載量、燃料搭載量が多いという。
 しかし実際に空母から離陸する戦闘機の写真は公開されておらず、甲板の上に並べられた戦闘機の写真もない。これらの主張には無理があり、張子の虎である。この空母は、依然として最終的にはヘリコプター空母として運用されるとみる。空母のエンジン出力の問題、戦闘機のエンジンの不安定さを克服できていないため、大型の艦載機をこの空母で運用することはできないと考えられる。ただただ日本を威圧したいという意図だけが明確だ。建設中だった福建省の海抜364メートルの山間部にある水門の空軍基地は完成したのかもしれない。東西2キロの主滑走路と補助滑走路があるという。殲10、Su-30、無人対地攻撃機、S-300地対空ミサイルが順次配備されるという。春暁ガス田までは200キロ、尖閣諸島までは380キロの距離があり戦闘機でそれぞれ7分、12分の距離だという。基地の完成で突然脅威が上がるわけではないが、台湾の台北も246キロという距離にあるという。
 意思が明確で、努力をしていれば道が開けてくるというのも、また事実だと思う。相手の将来目標がわかっているのだから日本もそれに合わせて対応しなければならない。数分で到達する飛行機やミサイルに、1週間2週間かけて迎撃体制を準備する日本の動的防衛力は、まだ絵に描いた餅でしかない。きちんとシナリオを公表して備えるべきだと思えてならない。日本にはその努力がまだ見えない。はやく政権交代を実現し絵を現実にしなければならない。自衛隊は、日本周辺での活動をする装備しか備えてないのに、カリブ海に行ったり、アフリカに行かされる現場の問題を考えている政治家は少なそうだ。
 日本国内の経済は、復興需要のある東北以外の地域での経済の落ち込みが厳しいようだ。個人的には、このところ貿易収支も赤字が続いていることが気になっている。それを気にしない人たちの脱原発論には興味がない。電気料金は現状の半額にしなければならないのに上がり始めている。最近ようやく再生可能エネルギーが高価であることが指摘されるようになった。早く買い取り価格を引き下げないと大変なことになる。こちらは絵に描いた餅すら描けない状況が続いている。