スパイ報道の波紋  

 在日本中国大使館の1等書記官が、警視庁の出頭要請を受けながらすでに出国していたことが報道された。警視庁は、この書記官は、外交官であることを隠して外国人登録証明書を不正に取得し、日本でスパイ活動をしていたとみて調べているという。書記官は中国の情報機関の出身で、東大で研究員を務めたほか、松下政経塾にも在籍していたという。
 そうした経歴ならば、日本政府の留学生に対する手厚い奨学金をもらっていたことは間違いないのではないかと推察される。日本に来る留学生には4年間でほぼ1千万円が供与される。その日本に来る留学生の予算の合計は300億円であり、日本人から海外に留学する学生には30億円が支出されている。来日する留学生のほとんどが中国、韓国からの留学生ではないか。いささかその予算のバランス感覚がおかしいのではないかと思う。ここの所、生活保護の不適正な受給でお笑い芸人が叩かれているが、外国人に手厚く支払われていることはあまり報じられていない。こうしたことが続けば、官公庁合理化の手段として期待されていたベイシック・インカム制度の導入は10年ほど遠のいたのかもしれない。
 米国は、最近ようやく、中国が各大学に開いている孔子学院を中国のインテリジェンス機関の一部だと公式にみなし始めた。孔子学院に学業研究ビザで滞在する人間が、米国民の教育の仕事に当たることは問題だという。孔子学院は世界に300あるとされ、日本でも、立命館桜美林大学早稲田大学などに設立されていた。しかしブリティッシュ・カウンシルやゲーテ・インスティチュートでないことはハッキリしていた。
 孔子学院ばかりが中国の政府機関であるわけではない。2010年7月から施行されている中国の国防動員法では、有事の際は、全国民が祖国を防衛し侵略に抵抗するため、金融機関、陸・海・空の交通輸送手段、港湾施設、報道やインターネット、郵便、建設、水利、民生用核関連施設、医療、食糧、貿易など各部門を政府の管制下におくとされている。これら物的・人的資源を自由に政府が徴用できるのである。民間の技術者、専門家らも徴用できるわけで、「法に基づいて国防の動員力を強め、国家の安全を守るために意義がある」と強調している。外から見ると、人員と物資がよりスムーズに徴用可能となり、短期的な局地戦だけでなく、国民を総動員した長期戦を可能にした法律だと考えられている。つまり、もともと現在の中国には民間はないのである。「外資、合弁企業も国防動員の生産を担うことができる」ならば、自国の軍備の一層の増強なくしては、危なくて合弁事業などはできない。
 1982年のフォークランド紛争で、英国が民用船舶を動員し、兵員の輸送と上陸作戦に使われたことを参考にして制定されたという。フォークランド紛争の事例は最近注目を浴びている。というのは尖閣列島や台湾進攻の際の作戦のモデルといわれているからである。
 民主党政権の現役外務大臣も、5月末に東京都内で講演し、中国が軍備増強を進めていることに懸念を示し、防衛予算を増額する必要があるという考えを示したという。全く異論はない。しかし元々そう思っていたのならば、なぜ、予算を決める前に、そう言わないのだろう。この無責任さと洞察力の無さ、計画能力の不足が国をおかしくする。
 民主党は、在日外国人に対する地方参政権の付与を、在日韓国人特別永住者に限定して進めることを検討しているという。それは間違いなく今度の選挙対策であり、選挙資金集めに他ならない。今までも選挙の活動を手伝ってもらい、彼らのお金を多くの政治家がもらっていたと考えられる。返したとはいっても、前首相も現首相も彼らの応援を受けていたことはハッキリしている。太陽電池利権の会社からもかなり応援を受けているのではないだろうか。このところ選挙目当ての制度改定が目に余る。