傍目八目 政治短観11年6月

目処がついたら退任することを条件に、内閣不信任は否決された。1日たって居座り姿勢が明確になると民主党内で騙した騙されたといった騒ぎが起きて早期退陣が確実のものとなりつつある。そこで次の体制は、首相は、という話になった。にわかに「大連立」論議がブームとなった。普通に考えれば予算関連法案をきっかけに衆議院の解散、総選挙へとなるべきだが、①被災地の現状を前にして総選挙を主張できないこと、②一票の格差の早急な是正が必要なこと、③基本法以外の災害復旧関連法案を通さなければならないこと、④特例国債法案を通さなければならないことが表向きの理由とされている。しかしそうしたことの前に、思いつきとパフォーマンス、非現実的なマニフェストに縛られた政権運営では、国がおかしくなってしまうという現実がある。
 大連立の場合、民主党衆議院で多数を占めながら、首相も自分のところから出すような連立政権では政権運営と政策の軌道修正をすることができず、連立に参加した野党は一時的にせよ吸収消滅し政権運営の責任のみ共有させられることとなる。かといって、ここで自民党に政権を渡すと決断し、党内をまとめることのできる勝海舟のような人物は民主党に期待しがたいのではないか。大連立がなるとすれば、ともに当選10回の古参で少数政党の党首である亀井氏か平沼氏が首相になるという選択ではないかと考えられる。民主党がそうした決断をできない場合、この国にとって程度の差こそあれ、第三の災害はしばらく続くとみる。与野党の議員諸兄の英断に期待したい。