造反有理 公益無罪

 尖閣諸島事件のビデオがyoutubeへアップされるという内部告発でマスコミは大騒ぎだ。中国漁船が意図的に巡視船に体当たりしている映像が確認された。撮影されたものの1/3に当たる。政府にとって救いだったのは、漁船員たちが逮捕されたときの映像が依然としてアップされてないことだろう。政府は犯人探しに躍起となるだろうが、国民の多くは、当初からビデオを公開すべきと考え、政府のやり方に全く納得していなかった。「そのビデオを見ると国民が怒るので見せたくない」という政治家のコメントは、国民を馬鹿にしている印象を与えていた。見せた上で、これに対処するにはこうしたいと説得するのが民主主義国の政治家の役割だからだ。本当は自分が決めているのに、都合の悪いところだけ、政治主導ではないと言いはる仙谷官房長官にも権力の傲慢さを感じさせられた。これで、ホトボリがさめた頃、在宅起訴せず、不起訴に持ち込むシナリオが崩れた。マスコミは、中国特派員を人質に取られているため、中国に不利な報道はできず、先陣をきってビデオの公開を政府に迫ることができなかったし、ビデオ情報の持ち込み先に選ばれなかった。
 ふと何十年ぶりかで「造反有理」という言葉が頭に浮かんだ。菅首相、仙谷官房長官が、全共闘新左翼として学生運動をしていた頃に流行った言葉だ。1939年に中国延安で毛沢東が「マルクス主義の道理は、つまるところ、造反有理だ」と述べたとされている。後に、文化大革命紅衛兵のスローガンとなった。「上の者に反抗するのには理由がある」という意味だ。ビデオを見て思うのは、尖閣諸島事件の際の海上保安庁の対応は冷静で見事だったが、その後の日本政府の対応はハノイでの中国ドタキャン外交への対応をみても無様だったという印象が残る。投稿された名前も官房長官の名前が使われており、明らかにその傲慢で国益を損なう国会答弁を批判した内部告発だと考える。また政府は外交のカードが1枚無くなったというが、持っていたところで使う才覚はもともと無かったとみる。造反有理とするならば、その対になっている言葉は「革命無罪」である。日本に革命はなじまないとすれば「愛国無罪」「公益無罪」である。