デモ、事業仕分け、沖縄、テロ 

1.デモ
 10月16日、日本と中国でデモがあった。日本のデモは、「いわゆる右翼」のデモでも、興奮している人たちのデモではなかった。動画で確認すると、日本で最もデモをやりそうにない老若男女の人たちが立ち上がったという意味で自分には驚きだった。一方、中国のデモは新華社系の中国メディアが、事前に「日本の右翼が3000人で中国大使館を包囲攻撃を計画している」と煽ったことに端を発している。日本でもそれは前日に確認されていた。16日の西安7000人のデモは大学生が中心だった。しかし成都2000人のデモは、学生以外の失業者も加わり暴徒と化した。それから1週間、内陸部の都市で野火のように反日デモが続いている。18日以降、中国メディアはデモを報じなくなった。河南省四川省は「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者が多く、彼らの失業が既に社会問題化しているため、当初は北京で開かれていた共産党大会への示威活動として計画されたデモが過熱しすぎたと判断したようだ。中国政府は公式に日本を非難する一方で武装警察によって押さえ込みを始めたとされる。当たり前すぎて誰も言わないことだが、間違った歴史教育をし、言論の自由がなく、反日中国共産党の正当性の源泉であるとするならば、どんなに経済援助で助けても、どんなに友好を唱えても、中国共産党ある限り、反日活動はなくならず、領土拡張主義は改まることはない。そうだとすれば、それに応じた対応をとるしかない。
2.事業仕分け
3回目の事業仕分けが始まるという。先週、現政権では一番人気あるという女性閣僚が、マスコミを引きつれ、スーパー堤防の視察を行い、工事事務所の幹部に質問している場面が流れた。スーパー堤防の意義と完成時期を歩きながら尋ね、口ごもると「わかりやすい予算削減の対象ですね」と言い放った。数百年に一度の起こるか起こらないかの災害に投資はできないということのようだ。それも一つの考えだ。しかし江戸幕府利根川を東遷させ、東京湾の入り江を干し上げて土地を拡張してきた歴史的事業の集大成とも考えれば、国土改良事業としてスーパー堤防も悪くはない考え方だ。個別の事業の是非が問題なのではない。行政プロセスとして、事業仕分けをどう位置づけるべきかの問題である。個人的には、財務省が台本を書いているにも関わらず、問答無用のお白州で一方的に結論を言い放つ感性が信じられない。意見があるならば文書で自分の意見を表明すれば良い。世論を巻き込むのが必要ならば国会でやってほしい。与野党伯仲が続くことが避けられないならば尚更そうすべきであろう。予算制度もそれに合わせて、米国のように案件別に個別に議決する仕組みに変えたらどうか。そうすれば、議会主導の予算が編成される。今月は社会福祉予算の月、来月は防衛予算をというように議論してもらったほうが国民にもわかりやすい。個々の議員の仕事と見解を判定するのにも都合が良い。
3.沖縄
 沖縄県と政府閣僚との間で会合が持たれた。11月末に知事選挙があるが、普通に考えれば、県知事選挙では現職有利となるところだが、基地問題でその行方が注目されている。民主党は地方組織と政権中枢との意見の乖離が大きく、独自候補を擁立できそうもない。ここにきて沖縄には米軍基地が多いものの、自衛隊の配備と基地の拡充が検討されるようになった。自力で守ろうとしないところに米軍の助力は期待できず、尖閣諸島だけでなく与那国、石垣、下地、更には沖縄全体の防衛が課題となったからだ。航空機を配備するにしても、戦闘機と早期警戒機の配備、それらを守り運用するための防空ミサイル部隊、施設部隊、さらには離島防衛のためのヘリコプター部隊まであわせると今のままでは基地が狭いということになるそうだ。元々、観光のためだけでも那覇の空港の拡充は必要だと主張する人もいたので、今回の検討をあわせればもっと広い飛行場をと考えるのが自然だろう。産業振興策としてのカジノの認可や、医療特区の設定など、おそらく他の都道府県から見ればため息の出るような、手厚い措置が検討される可能性がある。
4.テロ対策
 11月に横浜で開かれるAPECに関連して、日本のテロ対策が強化されている。9月に北朝鮮の後継者が決まったこともあって、83年10月のラングーン事件と87年11月の大韓航空機爆破事件が思い出された。どちらも北朝鮮金正日が計画したとされる事件だ。ラングーン事件は、韓国の全斗煥大統領一行が、ソウル・オリンピック勧誘のための南アジア歴訪の旅の最初の訪問国ミャンマーで、北の工作員3名によって爆破テロにあい、韓国閣僚も含む多くの死傷者がでた事件だ。大韓航空機爆破事件はアブダビからバンコクに向かう航空機がラングーンの南の海上で爆破された事件である。乗客乗員115人全員死亡した。バーレーンで日本の偽造パスポートを持った北の工作員2名が逮捕された。いずれも後継者として実績を積む過程で起こした事件であることから、今後、新たなテロ事件の発生が懸念されている。哨戒艦撃沈事件もその一環かもしれない。(今年の夏、民主党政権が日本に招待したのが大韓航空機爆破事件の犯人の1人の金賢姫だった。拉致被害者の情報を聞くとのコトだったが、何の意味があるのか自分にはわからなかった。)後継者の決定プロセスを見ると、かなり時間を急いでいるところから、3年以内に首脳交代とその前後の混乱が予想される。混乱が起こったときに拉致被害者をどう救出に行くのかという具体的な計画と施策が必要だし、様々な変化に対応可能な法制度の制定が急がれる。政府専用機があっても、法的に危険なところには救出にいけないのでは、立法府の名前が泣く。