傍目八目政治短観

 前原外相の誕生により心配されていた日本外交のブレはようやく収束する可能性が出てきた。これに知事出身の片山総務大臣が加わったことで、内政外交の柱ができ、そこだけみれば政権の安定感はぐっと増したと考える。
 今回の中国漁船団の尖閣諸島への進出は、先の「沖ノ鳥島事件」に続いて明らかに中国政府の領土拡張意図を踏まえたものだとの見る人が増えている。中国が単独でガス田掘削に踏み切った場合、日本単独の試掘や国際海洋法裁判所への提訴も選択肢に上ってきたという。
 中国は1万人の観光団体の旅行をキャンセルしたり、軍事力を行使せよと主張する学者の意見を新聞に公表し日本の威嚇を始めた。官製デモや嫌がらせも報じられているが、日本国内は清々粛々としている。
 ただこの内閣が、専門家の提言を踏まえて、集団的自衛権の行使や武器輸出3原則の廃止まで踏み込むかどうかは、まだわからない。学生運動出身の閣僚が多いのがこの内閣の特徴なので奇異に感じる方もいるだろうが、それらに踏み込み、防衛予算と人員を増加することが、中国、アジア、米国への明確なサインとなり、与野党含めて政権への求心力を高めると考える。逆に自民党は攻め手を失う可能性がある。