政治ノート 哀しいまでの無能さと二つの希望  

 宮崎の口蹄疫被害の惨状が次第に明らかになってきた。初動対策の遅れと明確な指示を出さないまま外遊した農水大臣と報道管制を引いたと言われる総務大臣に批判が集まりそうだ。一方、普天間移設問題は、案の定、先送りになった。首相の発言は羽毛よりも軽く、日本の信頼は地に落ちた。杭打ち方式も米軍から断られたようだ。攻撃された後に地元ですぐに復旧できない飛行場では困るからだ。どうやら戦争映画も見たことがない人たちが施設を考えているらしい。日本政府の行動は、もはや哀しいほど、誠実さ、勤勉さ、緊張感を欠いている。これが政治主導の結果ならば私は政治主導でなくて良い。
 国会は残すところ後一か月、検察審査会の全員一致の起訴相当判断の後、検察庁小沢民主党幹事長に再び事情聴取を要請した。小沢氏は今まで拒んできた政治倫理審議会での喚問に応じるという。「検察の2回目の判断が不起訴になった場合でも、選挙前に2度目の検察審査会の結論が出ないようにすること。党員投票が難しい時期に鳩山首相を退陣させ、国会議員と都道府県代表の互選によって新体制を決めて選挙に突入すること」を踏まえた選挙シフトに民主党が動いているのかもしれない。そうさせたくない反主流派との綱引きによる静寂が続いている。国家公務員法地球温暖化対策基本法強行採決された。去年言っていたことと違うじゃないか。強引な民主党のやり方に、ようやく野党の協調姿勢がでてきた。議会各党の事前協議が慣例となっている国会法改正案も審議入りしそうな雰囲気だ。人気の下落によって民主党の手法はますます荒っぽくなってきた。
 しかし今週は希望の星を二つ見つけた。一つめの希望は、10日に発表された「日本創新党」の基本政策方針と山田代表の言葉である。財政の再建、「小さくても賢い政府」と「廃県置州の実現」、教育の再興、自主独立の外交・防衛の確立、新しい憲法の制定と魅力的だ。多くの人が一読されることをお勧めしたい。もう一つの希望は「たちあがれ日本」の比例代表として藤井げんき氏が立候補されることだ。出された本があまりに素晴らしいので、20年前に一度会いに行ったことがある。国際政治の専門家だが、至誠と先見力の方なのだ。「このまま民主党の優位が続くと、人権擁護法が成立してしまう。この7月の参議院選挙が日本における最後の自由な選挙となる危険性がある」だから選挙にたったという。当選したら平沼先生を支えたいという。そういう人が出てきて本当に良かった。
 昨年の政権交代以来、最高学府を出ながら安全保障について全く学ばず、現実とは無関係な言葉だけの世界に生きる政治家と、選挙しか考えない政治家を与党のトップに置く日本の「いびつさ」自体について考える時間が多くなった。INTEGRITYのない政治家は信用されずTERRITORIAL INTEGRITY(領土保全)もできないことが実感として感じられる。そうした哀しみを受けとめながら、これからの日本が生きる座標軸について考えるにしよう。