エドナイゼーション 経済を考えるヒント

 これからの世界は江戸時代になろうとしていると喝破したのは日下公人先生だった。江戸時代に創造され流行した文化文明は現在の日本にも脈々と受け継がれている。それは世界中の人たちがあこがれるものとなった。本の題名は「あと3年で世界は江戸になる」(ビジネス社 07年11月)というものだったので、今年がエドナイゼーション元年ということになる。「歌舞伎、文楽、相撲・柔道、落語、寿司・天ぷら、和菓子、時代小説、時代劇映画、俳句、川柳、浮世絵、和服、塾、数学、江戸しぐさなど、江戸時代に端を発するもので世界中に日本の文化商品として輸出されている。こうした文化産業は世界に同業他社がいない独占産業で、しかも高付加価値商品として日本の独壇場となっている。(中略)工業国として登場したのちに文化産業が栄えるには普通30−40年のタイムラグがあるから、日本が世界最先端の文化国となるのは2010年からということになる」というのである。そうした目で日本の文物を眺めてみるといろいろなヒントを得ることが出来る。
 古き良きアメリカでは、新しい技術のヒントがほしくなるとイギリスに捜しに行く。そしてイギリスの人はヨーロッパに行くんだと天才肌の技術屋さんに教わったことがある。今の日本人が江戸にさがしにいくのも悪くない。江戸文化歴史検定京都検定などの人気を集め、歴女などという女性が現れるのも、エドナイゼーション現象の一つかもしれない。

 江戸をテーマにしたWEBサイト

歌舞伎美人(かぶきびと)  歌舞伎公式サイト | 歌舞伎美人(かぶきびと)
 歌舞伎の公式サイトのようですが、そのほかのことも結構楽しめます。こんなの英文版があったら海外の読者が増えるでしょうね。小生が歌舞伎教室で習ったこと:歌舞伎で、鎌倉と言ったら江戸、イナセ川といったら大川と頭の中で置き換えなさいということ。色彩的にも豪華なWEBです。緞帳の川島織物さんの記事も載っています。たしか自動車や住宅用の布地も扱っていますが、ルーツは緞帳なのかな。そう言えば新橋演舞場の上に日産自動車の本社がありました。
  
東都のれん会  http://www.norenkai.net/shinise/index.html 
 「三代、100年、同業で継続し、現在も盛業」という老舗の集まり。老舗の旬など、お店のコンテンツに面白い読み物あり。江戸の雰囲気を少し体感できる。
   
近松門左衛門でござーい http://homepage2.nifty.com/hay/chikamatsu.html
 文楽と言えば近松門左衛門と思って探していたら出会ったサイト何でも載っている。世界の歴史や人物探訪のサイトへのリンクも充実。文学部の図書館に迷い込んだような感じ。サッカーロボットを作るのも良いけど、文楽ロボットなんてのもありですね。鉄腕アトムが日本のロボット産業を作ったといわれてますが、手塚先生は大阪で文楽に触れていたのかなあ。人間らしいロボットというのは、江戸時代の発想からは当たり前に思えてきました。

21世紀に残したい港湾遺産一般社団法人日本埋立浚渫協会
 神子元灯台、品川のお台場、象の鼻防波堤など、幕末から明治にかけての港湾土木工事の数々。でもこうした工事のルーツは江戸時代。築地本願寺の境内は、佃島の漁師さんによって埋め立てられたようです。羽田空港D滑走路の写真もあります。河村瑞賢さんは現在でも漁業が盛んな伊勢の南島町出身ですね。今でいえば大エンジニアリング会社の創業社長ですね。

利根川東遷概史 http://www.asahi-net.or.jp/~vm3s-kwkm/tone/index.html
 どうしてこのサイトのような話を日本史の教科書に載せないのか良く分からないほどスゴイ話。東京湾に流れこんでいた利根川を銚子に河口を付け替えた。それによって東京湾デルタ地帯を干し上げ、当時、世界最大の都市を作ってきた。江戸時代を研究している先生が文学部や法学部出身の先生が多いからかな。日本堤を建設し、その先に吉原を移転させ、毎日、踏み固めさせるなんて、スゴイ発想だ。

からくり儀右衛門http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20070509/124447/
 1799年(寛永11年)に福岡・久留米の鼈甲(べっこう)細工師の家に生まれた田中久重は、からくりの創作のみならず、万年時計、「無尽灯」(空気圧で油を自動で吸い上げて灯りを10倍以上にする灯火機)、「雲竜水」(消火器)、「懐中燭台」といった実用的な器械を次々に世に送り出し明治8年、東京の銀座に田中製作所を創業し、これが後に芝浦製作所となった。からくり儀右衛門は東芝創業者の一人とされている。