政治ノート  政権崩壊とブレない対立軸

1.支持率 
中国の習近平国家副主席と天皇陛下の会見が、首相や官房長官らの要請で実施されたが異論が相次ぎ、首相の弁明が失笑をかった。宮内庁長官の抗議は、副主席との面談自体よりも幹事長が韓国訪問中に「植民地100周年に際しての天皇陛下訪韓を強引に推進しかねない」ことへの警戒感と懸念の表明だと感じられる。宮内庁長官の抗議は民主党幹事長より辞表を出せとの恫喝を浴びたが、この時の幹事長の恫喝自体が「民主党人気の転換点」となったのではないか。今まで、鳩山首相自身は指導力の欠如と政治資金問題で退陣せざるをえないものの、副総理あるいは行政刷新相か誰かに交代してしばらく政権が続くと考えてきたが、この幹事長ある限り支持率は低落し続ける運命にあるとみる。

2.外国人地方参政権 
大きな騒動であまり注目されなかったが、民主党幹事長は外国人地方参政権付与法案を政府提案として年明けの通常国会に出すことを表明した。民主党内にはこの法案に対して賛成も反対もあると幹事長が言う。同時にこれを政府提案とするならば与党の民主党としては当然賛成せざるを得ないともいうのだ。極めて変な理屈だ。おそらく党議拘束をかけて採決となるだろう。周りに誰も諌める人がいなくなった人、聞く耳持たない人の理屈だ。なぜ彼がそこまでこの法案に執着するのか論理的な説明は困難だ。法案に賛成の公明党と反対する自民党の間に楔を打ち込むのが目的なのか、献金の獲得が目的なのか良くわからない。いずれにしても、この法案がリトマス試験紙となって組換えが始まる。

3.京都議定書の復活と離脱 
コペンハーゲンCOP15で新議定書が採択されず、結果的に前の京都議定書が残っている状態続いている。今後についてなんら合意はない。日本は2008年から2012年の間で、8パーセント削減が義務づけられているが、2007年時点で9パーセント増加している。この時点で現状から15パーセントの削減が必要だ。来年から2年間という短期間で温室効果ガス削減に取り組む必要がある。さもないと更なる罰則が科せられることとなる。ヨーロッパと日本だけが削減義務を負い、ヨーロッパの義務はユルユルで、日本だけが苦しんでも総量は減らないので結果的に温暖化防止効果はない。理由をつけて議定書から早々に離脱を表明する必要がある。そもそも温暖化仮説自体に疑問が出てきたうえに、政策のメリットを計算することになっていたチームの成果が非公表になった。論理的に説明できない環境政策は全面的に見直すしかない。「環境税を」と言っていたのに暫定税率を「名無しの新税」とすることが決まったようだ。理論武装ができないので圧倒的多数を占める国会でも議論できないのではないか。

4.海外では大盤振る舞い
日本政府はCOP15の会議の過程で、3年間に1兆8千億の途上国援助を行うと主張したがその財源は何を前提にしていたのかを明らかにすべきであろう。外国人にはいばっても、日本では「最後は私が決めます」としか言わない政治は独裁政治以外の何物でもない。年間6千億円のODAとは気前がよい。母親に数億円の子供手当をもらっても気がつかない首相に最後に決めさせてはいけない。首相は海外に出ると急に気が大きくなり、大盤振る舞い三昧だ。インド洋給油がアフガン援助なると何倍になったのか。普天間移転なくともグアム基地建設のための負担は継続予算措置をするとはどういうことなのか。沖縄の市長さんの米軍分析はもっともらしいが、グアムの環境アセスメント情報が元となっていることに不安はないか。環境アセスは最大規模で行い、日本からお金がもらえる計画を最大にしておいても最終的にどうするかは別に決めても良いのではないか。何とでも言えそうだ。そこから考えるより、本筋の国防の必要性から考えたほうが筋が良いと思う。韓国は海兵隊が沖縄から無くなることを心配しているようだ。
「環境ODAを日本だけやれば良い」と主張した韓国出身の国連事務総長は何を考えているのか、国連中心外交を唱える人は説明をしてほしい。

5.「東アジア共同体」への傾斜だけはブレない 
普天間基地については決めないことを決めた」と言い、コペンハーゲンの晩さん会の席で隣の席のクリントン長官に説明し理解を得たと言い張る首相は常軌を逸している。田舎の会合でも、そんなことをする人は相手にされないし、一緒にご飯を食べる人が段々居なくなるのが普通だ。英語が話せても日米の最高学府で学んでもダメな人はダメなことは良く分かった。米国に帰ったクリントン長官は日本の藤崎駐米大使を呼んで改めて「米国の立場は不変」と言ったそうだが、職業外交官はこういう時にどんな表情をするのだろう。日本国民の一人として、もっとしっかりしないとと考える。
 100日たってはっきりしてきたことは、この政権が中国を中心とする東アジア共同体の秩序に日本を組み入れてほしいという姿勢についてはブレない意思を示していることである。
 岡田外相は違う考えを持っているならば、サッサと辞表を提出し次に備えるべきであろう。待っていても良いことは何もないと思われる。