国会議員報酬   勝手に事業仕分け

 ここ数日、事業仕分けのハイライトがニュースで放映されている。地方交付税15兆幾らが、どうのこうのという仕分け担当の議員さんが登場したが、たしかに1時間で結論が出る問題ではない。なぜ地方交付税が取り上げられたか考えると、その裏側がすこし透けて見えるような気がした。財務省の主計官が取り上げてほしかったというのが、私の見方だ。全国の市町村を30幾つのタイプに分けて基準財政需要額に基づいて交付税を配分する旧自治省ご自慢の「世界に冠たる地方財政制度」が気に入らないのだろう。昔から匙加減が自治省の地方支配の道具になっているため、もっとシンプルにすべしという学者や首長が何人もいるテーマだ。NEC富士通が下りてしまったスーパーコンピュータの開発に何の意味があるのかという議論もわからなくはないが、科学技術の開発テーマの選定を人民裁判にかけるべきだとは、とても思えない。個人的には100年で3度の上昇、10年で0.3度では体感できないし、温暖化するか、ミニ氷河期がくるかわからないのに、温暖化対策のみを声高に叫ぶ人の気持ちがわからない。それよりは多数の外国人が子育てのために日本にやってきそうな「子供手当」や、「国会議員の報酬」をどう事業仕分けをするか俎上にのせてほしい国民が多いのではないだろうか。

 新政権となって、国家戦略局や国会運営については英国に学ぶべきだとして、政権首脳陣が何度か英国に調査に行かれたと新聞が報じている。「英国では、英国では・・・」というので、それならば、ぜひ議員報酬の話を議論していただきたいと思っていたが、でそうにない。最も参考になったのは、現在、名古屋市長の河村たかしさんが書かれた「この国は議員にいくら使うのか」(角川SSC新書08年9月)という本だ。抜粋するので、ご関心がある方はぜひご購入ください。発想がユニークで、説得されてしまいます。

政権交代よりも議員改革
河村さんによれば、議員報酬を現実的な金額に下げて特権的な手当てをなくせば、庶民感覚が戻って税金の無駄使いに敏感になり、議員が働き始めるというのだ。面白い人だと思っていましたが、国会では本当に人望がなかったように感じてました。ごめんなさい。議員でも役人でもないですが、個人的には心情河村派です。福島県矢祭町(「日当制議員」制度で有名)の根本前町長や名古屋の則竹市議会議員、愛知の佐藤県会議員との対談も興味深いです。そういえばベンチャーとして成功されたQBハウスの創業者の方は矢祭町で税金を納めていると胸を張っていました。

****世界各国の議員報酬*****
日本(衆議院480名 参議院242名)
  歳費(ボーナス込み)2200万円
  文書通信交通滞在費 1200万円
  秘書給与(3人分) 2600万円

英国(下院646名 上院749名)

  下院歳費      1250万円 

  歳費手当440万円+通信手当210万円

  上院歳費       なし

  議会1日当り事務所手当 15千円(開会日数+40日まで可)

米国(上院100名・下院436名)

  上下院歳費     1850万円

  スタッフ手当 下院 7200万円 (18人まで雇用可)

         上院 2.9-4.7億円(平均41人雇用)

ドイツ(連邦議会613名、連邦参議院69名)

  連邦議会歳費    1450万円

  職務手当       740万円 

  連邦参議院     なし

  職務手当・旅費   130万円

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 河村さんによれば、世界一の議員報酬だそうです。これに準じて地方の議員報酬が決まります。そのため影響が大きいのです。文書通信交通滞在費も加えて考えれば、英国の2倍なので、日本の国会議員の歳費は半減しても良いと思われます。参議院の人数も多いです。まずそこから手をつけないで、外郭団体の人の給与が「12百万円もするので高いとか安い」とか言われても、説得力がありません。
 さらに議員報酬に、大臣・副大臣政務官として働く方は報酬が加わるでしょうし、無給だといわれる民主党職員が行政刷新会議で働けば手当は出るはずです。庶民の感覚ではそれを無給とは言いません。
 アフガンは4500億円を5年間で援助するみたいですが、インド洋での洋上給油は幾らだったのでしょうか。危ないからアフガンに行けないとか、安いから得だとは政治家は口が裂けても言ってはいけない問題だとは思いますが、庶民感覚ではお金の話はぜひ明らかにしてほしいものです。個人的に、参議院は英国風にもっと議員数を多くし、名誉と見識を競う場所として、職務手当のみにしても立派な方の議論がなされるような気がしています。