政治ノート  漂流、民主独裁制、ヤラセ

 総選挙が終わって6週間、政権交代して1ヶ月、これからの日本はどうなるか、誰もはっきりとした見通しを持っていないのではないか。毎日懸案を次々に片付けなければならない民主党指導者にも分からないのかもしれない。政権交代だと騒いでいた割には準備ができていなかった。良い人もいるところも見えてきたが、本質的な問題、議論が深まらないと感じられる。

 うまく正しく決着をつけてほしいと願うことは、鳩山首相政治資金規正法違反の問題である。現在オープンになっている故人献金の問題だけでなく、鳩山首相の非公表の5万円以下の部分の異常さ。通常の小口献金に注力してきた議員の金額の10倍以上の総額の集金実態が明らかになれば、選挙前は「代表の辞任は考えていない」としたが、議員を辞めなければならないだろう。個人の金、家族の金であっても21条違反となる。小沢幹事長の「天の声」献金事件、マルチ商法会社献金、外国人献金の問題は、政権へのはっきりとした高い支持とは裏腹にはっきりしないことが多い。とりあえず、参議院選挙までは先送りにしウヤムヤにしたいということなのだろう。ウヤムヤにならない場合、指揮権発動か、首相のタライマワシでしのぐか、自民党の巨悪との相打ちによって打ち消すのだろうか。いずれにせよ政治全体の打撃は避けられない。もし自民党の追及を避けるために、社民党と連立を組んで国政を蹂躙したのだとすれば、罪は一層深い。また日本の漂流が始まる。
 第21条の3 寄附の総額の制限  
 第22条の5 外国人、外国人が支配する法人から寄附受取り禁止
 第22条の6 匿名での寄附禁止、受取りの禁止。但し街頭、集会での千円以下は除く。

 マニフェストの中でも明確にされず、国会で国民の前で方針を示す前に動き始めた外交安全保障政策はどう進むのか、「友愛」外交と言っているがその中身は何なのか。中曽根元首相が多年にわたり活動されてきた東アジア共同体評議会の主張と日本の世界平和研究所が3月に出した国際経済・金融体制の展望(東アジア共通通貨の創設)を組み合わせ、巨額の排出権援助(国民にとっての巨額な負担)をコマセとしてばら撒く宥和外交のような気がする。全治5年の大不況に、本当に世の中はそれでもつのか。日本はもっても、米国や中国はもたないような気がする。大不況の克服が物騒なことにならないように抑止力を高めるために何をするのか国民を説得する見識が問われている。世界が転換点にある現在、外交、安全保障、経済、新しい通貨制度についてどこで議論をするのだろうか。この点については、政治主導で、政・官・学・財を問わず英知を集め、議論する仕組みを作ってほしい。それが国家戦略局の本来の仕事ではないのか。「言いっぱなし、掻きまわし、後回し」では皆が不幸になる。目先の忙しさを自慢されても来年の国民は評価しない。

 与党内における議員立法の禁止や様々な新しい制度が導入されることに、与党出身の衆議院議長が珍しく異を唱えたと聞く。そして民主独裁制の下、与党幹事長が、問題の多い外国人地方参政権を法制化したいと言っている。それで本当に正直、勤勉、相互信頼、自由と平和を旨とする国民性を守れるのか。それだけでも国民投票が必要だと思う。そうしたテーマの諸問題について、マスコミ共同で、国会議員にアンケートし、論点を明確にしても良いと思う。

 目の前のヤラセの3兆円削減ドラマを見せられ、これから95兆円からの削減予算ドラマに時間を取るのは疑問だ。主計官がやっていたことをみんなでやりましょうということだと思う。国家戦略局なり戦略室が骨格を決めて調整すれば良いにすぎない。ただそれで景気は持つのかという議論が別にある。削るだけが役割ではないだろうということ。消費税は上げないという議論は、世界的不況の前に吹き飛び、ドルの増発、ユーロの増発、元の増発にあわせてどうするかという大きな議論が出てくる。
 09年度当初予算は88.5兆円のスタートだった。それに民主党の独自政策7.1兆円を加えれば95.6兆円となるので、当初計画通りでしょうということになる。09年当初歳入は46.1兆円の税収見込み、33.3兆円の国債発行、9.1兆円のその他収入の合計なので落ちた分は国債の増発。今回、民主党が削減した3兆円は国債の発行減額となる。本来は今年削減した分を来年に回しますとは言えないのが本来の仕組みだと思う。14兆円の自民党補正予算のうち3兆円減額したので11兆円の補正予算を執行したことになるが、特別会計も含めてどの程度の予算規模になるのかは部外者にはまだしばらく全くわからない。再来年から導入されるはずの戸別所得保障の先取り分、医療費の自然増分に加えて5-6000億円を削減したということなのだろう。次回の削りシロまで残しておく、いつものヤラセに見えてしまう。