政治ノート  民主独裁制への誘惑   

1.民主独裁制
 政権交代となった総選挙から3週間を経て、良い意味でも悪い意味でも日本が動き出した気がする。民主党の中でも応援したい大臣とそうでない大臣、議員が少し見えてきた。と同時にこの政権の対抗軸は誰かが非常に重要だと考えだした。それが「自民党なのか、財界なのか、ジャーナリストなのか、民主党内部なのか」はよくわからない。というのは、鳩山総理の一見謙虚な言動とはうらはらに、「政府と党は一体で国家戦略局が政策を決め、国会は多数を持って可決する。官僚は外に向かって発言してはならない」という独裁制型の意思決定モデルを採用しているかに外からは見えるからだ。政治主導という言葉によって実現されたのは脱官僚依存ではなしに、結果的に民主独裁制ではないのか。そんな疑念が杞憂に終われば幸いだ。しかも今回の選挙で民主党の内部構成は左派が1割、右派が1割、8割が中間派だといわれていたが、いま元気になってきたのは左派だ。いつの間にか日教組も主役に戻ってきた。国民へ情報公開、民主議員への党議拘束の掛け方には特に注意が必要だ。来年の参議院選挙はもしかしたら、新しい民主独裁制への誘惑とその是非が課題になるかもしれない。

2.連立の理由
 当初は、なぜ連立するのか理解できなかった。というのは、今の自民党ならば議会対応で無茶なことをすれば自民党自体が溶けて亡くなる状況だと思えたからだ。責任ある野党を売りに、雑巾がけを始める自民党に無茶な議会戦術などとれるはずがない。だが連立を選び火種を内部に2つ取り込んだ。それでも民主党首脳部は、大きな議論をせずに、国会で多くの法律を通したいために連立を選んだようにみえる。そして、ここ数十年、議論はされてきたものの採用されなかった政策や意見の全てをまな板の上に並べ始めた。

3.外交・安全保障
 村山談話を踏襲し、EUのような東アジア共同体を作り、日米同盟を強化し、ロシアとの懸案事項を解決する。どう考えれば良いのか、誰にもわからない。10月10日に中国で、日・中・韓首脳会談が開催されるとのこと。何事もなければ良いが・・・。韓国はなぜ天皇陛下訪韓を希望するのか。

 東シナ海を友愛の海にすることは結構なことだ。チベットやウィグルも友愛でお願いしたい。内政干渉だと主張するだろうが、日本人はそう思っていない。世界史の授業でチベット、ウィグルは歴史的には別の国だと習っているから。始まりは重慶でのサッカーの試合だった。そこまでするかと呆れた。次は中国の外務委員と副首相の言葉と不遜な態度には驚いた。政府は何も言ったわけではないが、テレビで彼らの態度が放映されてしまった。それまでは素直に中国人は尊敬されていた。今は普通の外国人。そして餃子事件。餃子一個で幾つも会社がつぶれたというが、何が悪いのか明らかにしなかった幕引きの仕方が悪かったにすぎない。野菜の農薬もひどかった。何も不買運動が起きたわけではないが、スーパーでメイドイン中国に手が出なくなった。ここにきて賃金や保険が上がり、生産拠点としては魅力が少なくなったという。アジアではベトナム、インドに、欧州ではトルコ、ルーマニアに製造拠点が移動しているという。大変とは思うが、中国を援助して何が得られるのか。今のところ、黄砂と光化学スモッグは毎年もらっている。

 今では中国がもはや途上国といえないため、中国へのODAに関しては有償資金協力(円借款)と無償資金協力に限り、2008年度の援助を最後に打ち切ったと記憶している。近年、中国の東シナ海ガス田での採掘、日本のEEZでの無断海洋調査、領海侵犯、繰り返される反日暴動、日本の常任理事国入り妨害、アフリカ地域での資源の囲込みからみると、日本には友愛的ではなかったことは多くの関係者に知られている。それにもかかわらず、アジア開発銀行を経由した対中援助は1986年から2007年までの間2兆3000億円、さらに2008年から2011年までの間に5000億円の追加している日本は、鳩山さんでなくとも友愛の国だ。07年12月に訪中した民主党の40数名の議員さん変な写真撮られてないでしょうね。危ないな・・・。

 台湾の中国への傾斜具合を決めるのは、台湾の方の問題だが、仮に台湾が中国と一体化したり、風雲急を告げたりすると、いよいよ尖閣列島の問題が始まる。日本としては、紛争地域が拡大しないよう、戸締りを急ぐ必要があります。国土の97%がタリバンに支配されたアフガンに民政援助は難しいことを考えるとインド洋のガソリンスタンドも大事ですが、アメリカとの連携を今まで以上に強固にしておく必要がある。新型戦闘機、原子力潜水艦巡航ミサイル無人偵察機などアメリカから買うこと(マクロ経済的にいえば、日本の競争力や生産性に寄与しなくてアメリカに返済義務のないお金を回せること)も検討すべきだと思えてなりません。戦闘機は、ユーロファイターかもしれませんが、それに日本流の改造をすれば良いものになりそうですね。
 前原大臣殿、ダムや高速道路もご担当ですが、海上保安庁もご担当です。


4.環境
 二酸化炭素90年比25削減(05年比30%削減)を公約した。麻生案05年比15%でも厳しいため、残りの15%二億tの排出権を買い取るとすると1tが1000-4000円(EUでは3000円)の価格で2000億ー8000億円。日本が大量に買い取るとすると値上がりが十分予想されるため、1兆円。これが2020年の姿だとすると10年間平均して毎年5000億円位と見るべきなのか。いずれにしろ金額を明確にしなかったことが唯一の救いだ。このほかに国内で15%2億tの削減。これだけでも、どうするんだと思うが、不勉強な評論家達は歓迎。名前を覚えておこう。そういうムード的発言が日本の政治家のいい加減さの根源。(明日には忘れているかもしれないが・・・。)

5.政治主導とはいうものの・・・
 日教組の巻き返しでどんな変更が行われることか。教科書に村山談話を書き込めなんて言わないでしょうね。それだけでまた国論が分裂しますよ。健康保険制度の一体化と地域の保健への分割について何年も研究してきただって、県単位で見ても高齢化地域が10年ごとに変化していくのに、どこの数字を見てたのだ。