政権交代前の不安

 このままいけば数日後に政権交代が起きるといわれている。いろいろガタガタしても、外交・安全保障政策上の大きな変更はなく、内政上の転換がなされるだけではないかという楽観派に属していたが、ここにきて海外の論調が少しおかしいので何が原因か気になりだした。この政権交代はギャンブルだとか、日本は反米に転じようとしているとかの見方である。

 こうした見方の原因の半分以上は、鳩山新総理にあるのではないかというのが今のところの結論である。新総理についてwikiで調べてみると、これが英語に翻訳され回覧されればギャンブルと考えられても仕方がない気がしてきた。外交について意見のブレが大きい。しかも、そのことを本人自身はあまり気にしていない節が見受けられることである。「北朝鮮・中国・韓国の懸念はもっとも、日本の反省が足りない。地方参政権はもとより国政も開く位でなければ」と無邪気である。

 報道によれば、総選挙後、数名の重要閣僚の指名が行われ、14日に国会が召集され内閣が発足する。22日には国連本部の気候変動会合の開会式に出て、23日には国連総会、24-25日はG20金融サミットと外交日程が目白押しである。この間のローマは本当に恥ずかしかったが、今回は別の意味で不安だ。もっとも、まだ2つのことが決まっていない。それは民主党が320議席(定数2/3)を超えるか否かという点であり、もう1点は外務大臣が誰になるかという点である。それによって、この不安は増えたり減ったりする。

 先日着任した駐日大使は、「北朝鮮情勢を含むアジア太平洋地域情勢への対応に際しては、日米の緊密な連携が不可欠であること。2010年は現行日米安保50周年であるが、これから50年後に、両国がより強固な関係を構築できるよう努力したい」旨を述べたといわれている。鳩山氏は訪米して、「核のない世界」を目指すオバマ氏への賛意を強調し、非核三原則の堅持など核廃絶への取り組みを訴えると言われている。そして日米地位協定の見直しと米軍移転の促進、核の持ち込み禁止の確約をオバマさんに迫ると言うのは本当だろうか。米国内では、急速に反米化する日本を一方的に守るのはなぜなのか、日米安保を空洞化させたいという意見も増えてきているという。ちょっとスリルがありすぎる気がする。