最初の1頁、あるいは、最初の100日

 衛星放送でやっているホワイト・ハウス(The West Wing)という番組を毎週楽しみにしている。わからないことがあると、アメリカの地図をひっ張り出したり、慶応の阿川先生が書かれた合衆国憲法の本を読んだり、キング牧師の演説を読んだりしているので、一週間があっというまだ。

 今は最終第7シーズンで、米国民主党の新しい大統領候補サントス(ヒスパニック系だがオバマ大統領がモデルと言われている)が選ばれ、共和党の大統領候補と選挙戦が白熱している一方、現職のバートレット大統領とそのスタッフの日常が描かれている。学生時代に読んだどんなアメリカ政治の本より面白い上に学ぶことが多い。また試験がない勉強は実に楽しい。もう一度シーズン1から見たいのだが、田舎のツタヤでは需要がないらしく1年以上前からDVDが置いてない。最近印象的だったのは、1−2か月前の放送だったか前首席補佐官のレオを副大統領候補に選んだサントスとレオが、政権を取ったときに何をやるか相談する場面のところだ。就任して2年後にはまた予備選が始まり選挙のシーズンとなる。その前から少し動きがあるので、実質1年半が政策を追求できる時期なのだという。政権運営に熟達したレオは、そんな猶予はなく、100頁あった政策集のうち実現できるのは最初1ページだというのだ。あるいは最初の100日と言っていたかもしれない。

 日本においても事情はそうは変わらないのではないか。マスコミは、郵政小泉選挙並みの民主党の地滑り的勝利を予測している。だからと言ってその優勢が2年後も続くことはないだろう。小泉さんには「郵政を民営化しなければ」という思いがずっとあったと思う。それは郵便貯金財政投融資の原資を明確に切り離すべきだという1点にあったはずだ。

 鳩山政権の最初の1頁は何なのか。新聞がいろいろな発言を報じれば報じるほど気になってくる。非核三原則について、オバマさんと交渉する?その前に中国や北朝鮮と交渉する方が先ではないのか。この間のミサイル騒ぎはデッチアゲだとでも言い張るのでしょうか。農業における戸別保障制度の導入は良いが、その目的は何なのか、減反政策は廃止するのか、しないのか、はっきりさせてほしい。高速道路を無償にするというが、道路各社はまた国営に戻すのか、戻さないのか。乗用車から公共交通機関へのシフトが環境政策としては重要ではなかったのか。大きな課題と言われる公務員改革はどうするのでしょうか。天下りの禁止だけではなく、70歳への定年延長、議会調査局の充実、外務省の根本的なテコ入れなどとからめて解決していく必要がありそうですね。どの問題も、順序と手段を間違えると大変なことになりそうですね。最初の1頁、最初の100日をどう過ごすか、まだ5日も考える時間があります。