経験経済と「はてな」    企業を考える (1)

ブログ3本目にして、大家さんの「はてな」を取り上げるのは、いささか不遜にも感じるが、これから少し新興企業の分析をしたいと宣言したので、その1つ目として載せて皆さんの感想を聞きたいと考えた。大家さんを褒めるのは何だが、いい線いっていると思います。

***********************************経験経済と「はてな

 時代が過ぎるにしたがって、経済的価値の本質が、「コモディティ」、「商品」から「サービス」に移り、今後は「経験」に移ってくるのではないかという仮説がある。サービス経済が成熟してくると、サービス業においても価格競争が始まる。そのなかで付加価値をとるためには、「経験」、すなわち、「顧客を魅了し、サービスを思い出に残る出来事に変えること」が追求されるようになる。

「経験」には4つの領域がある。演劇やコンサートなどの「娯楽経験」、テーマパークのアトラクション、カジノ、スポーツカーレースなどへの参加といった「脱日常経験」、学校やカルチャースクールのような「教育経験」、美術館やパリのカフェに座りぼんやり眺めるといった「審美経験」である。これらの領域が重なり合えばあうほど、「経験」は豊かになる。たとえば、エデュテイメントという言葉があるが、これは「娯楽経験」と「教育経験」の重なった領域を指し、そこでは様々なビジネスが生まれている。街並みや自然環境の美しさは「審美経験」の領域であり、その中での店員さんや街の人々との触れ合いは、客席と掛け合いをしながら進められる即興劇という「娯楽経験」と考えることができる。

 商品やサービスを提供する際に、これらの経験領域を重ね合わせて、如何に豊かな経験を作り出せるかが今後の競争の鍵となるものと思われ、「はてな」の将来を考える際にも有効だと思えてならない。例えば、「教育経験」という観点からは、どんな情報や活動が、顧客や顧客の子供・孫といった家族の知的好奇心やスキル獲得意欲を刺激するかを考える必要がある。今後ますます重要となる自然・環境・エネルギー・健康・趣味・余暇・国際交流についてどのような教育経験が提供できるのか幅広い議論がおこっても良いと思う。また顧客をいつまでも“そこに居たい”と思わせる力である「審美経験」という観点からは「はてな」を、より魅力的で興味深く快適にするためには何ができるのか、顧客が自由に“居る”ことができるような雰囲気を如何に演出できるかを考えよう。老若を問わず、安全で安心な、そして、心楽しくなるための「はてな」づくりが必要だ。「はてな」は、そうした道を歩んでいるような気がしてならない。