対韓国外交 

 消費税増税法案が参議院でも可決され成立した日に、韓国の大統領が竹島を視察した。日本政府は急に「毅然とした態度をとる」と言ってバタバタしだした。しかし行き当たりばったりの人たちに、きちっとした対応はとれるとは思えない。マキャベッリの政略論にいう「弱体な国家は常に優柔不断である。そして決断に手間どることは、常に有害である。決断力に欠ける人々が、いかに真面目に協議しようとも、そこからでてくる結論は常にあいまいで、それゆえ常に役立たないものである」という見方が正しいことが証明されそうである。
 ロシア駐在大使や中国駐在大使と同じく、召喚ではなくて韓国駐在大使を一時帰国させたとのことだ。ロシアの首相が北方四島を訪問しても大使の召還すらできない無能の政権であると見きった上で、韓国は行動している。この3年間やはり外交も最後まで落第だった。こうした事態は十分に予測できたが何もしなかったのである。
 事実としては昨年8月、鬱陵島の独島博物館の視察に行こうとした日本の国会議員3人がテロリストと同じ理由で空港で韓国入国を拒否されるという事件があった。駐韓国大使は抗議したが、外務大臣は何もアクションをとらなかったと記憶している。年末の日韓首脳会談では、慰安婦問題を持ち出されても、憮然とするばかりで日本政府は何の反論もできず対応をとれなかった。
 この7月に韓国を訪問したばかりの外交が得意だという民主党政調会長は、国際司法裁判所竹島の問題の提訴をすると言いだしたが、韓国が応じようとしなければ何の意味もないことは何十年も言われている。それが毅然とした対応ならば茶番である。
 以下は本ブログにアップした朝鮮半島に関する時々の記述である。既に昨年末の段階で、今回の動きはメディアが報じていた。その半年前の7月には、大韓航空竹島上空を新型機のテストフライトコースにしていた。哨戒艦を撃沈されて、本来は北へ向かうナショナリズムを日本に転嫁させるという方針で李明博政権は動いてきた。

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 民主党政権になって韓国の反日運動はますます過激になっている。保守派の人間から見れば、民主党は韓国に大甘の政策をとってきた。朝鮮王室の儀典書である朝鮮王室儀軌は寄贈されたものであり、日本が引き渡さなければならないものではないが、好意から引き渡したら、あたかも略奪したかのよう位置づけ、返還だ返還だと主張する変な国とどう付き合うのか、この引き渡しを推進した政治家に聞きたい。
 教科書問題もそうだった。事情通によれば、歴史的事実の問題ではないのだという。韓国や北朝鮮にとって日本の教科書の中身はどうでも良いのだと言う。反日ということで世論を統一し、日本人が謝罪することで、日頃のコンプレックスから解放され心理的に優位に立った気になる人たちがいるだけだという。事実とは関係のない歴史を共に議論しても意味がない。
 慰安婦問題の発端は、朝日新聞の捏造記事だった。1991年8月に元慰安婦が日本政府に対する訴訟の原告として名乗りでたときは、「親に40円でキーセンに売られた」と訴状に書いてあった。ところが朝日新聞の記者が「女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦のうち、一人が名乗り出た」と報じたことが発端だ。これは誤報ではなく意図的な捏造である。彼の妻は韓国人で、その義母が訴訟の原告団長だった。韓国語の読める記者は訴状の内容を知っていたと言われている。彼はこれが単なる人身売買である事実を知りながら、義母の訴訟を有利にするために日本軍の強制連行という話を作り上げた。1993年の河野官房長官談話で「官憲等が直接これに加担した」とこれを認めるような発言をしたため、「日本政府も認めた」という印象を世界に与えた。 しかし朝鮮半島で日本軍が慰安婦を強制連行した証拠は一つもなく、歴史的事実としては決着のついた話だ。
 竹島問題も、李承晩ラインの一方的設定と不法占拠から始まっている。近年その島の周りにエネルギー資源が見つかったから話は更に厄介になった。
 多くの反日問題の原因をたどると、李承晩政権の反日教育に行き当たる。その教育を受けた人たちが、韓国社会のトップに立っている。だから、戦前の日本の植民地統治の実際と事実と無関係に過激になっているというのが自分の現在の仮説である。