春の独り言

 四国の高知では3月21日に桜が咲きだした。開花してから関東以南は7日、東北は5日、北海道は4日で満開となる。東京では先週末の7日8日が今年の桜の見ごろだったのかもしれない。11日の雨で桜のシーズンが終わる。この1ヶ月ほど、テレビで国際政治や国内政治のニュースをやるたびに、チャンネルを変えるのが癖になっている。選抜高校野球の選手宣誓のように、「人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくて辛いことです。しかし日本がひとつになり、この苦難を乗り越えることができれば、その先に大きな幸せが待っていると信じています」とは言い難い。むしろこれからが苦しくなりそうだ。政府は増税のことばかりで、円高や資源価格の上昇、そして電力不足には無関心だ。
 ここ数日中に北朝鮮は南西諸島からフィリピン方面に向けて射程1万㎞の弾道ミサイルの実験を行うという。1998年8月に北朝鮮が日本に向けて発射した弾道ミサイルテポドン」は米軍三沢基地を標的にしたものだった。今回は射程1万㎞を目指しているという。北の平壌から、ロンドンまでの距離が8690㎞で、ロスアンゼルスまでは9580㎞。ニューヨークは10950㎞なので少し届かない。しかしミサイルの技術が拡散したら大変だ。例えばイランのテヘランからの距離でみるとニューヨークは9880㎞の位置にある。
 実験が失敗しそうだったら、まずイージス艦のミサイルで高高度の迎撃をし、それでも日本の領土に着弾寸前になればPAC3のミサイルで破壊するという。誰が考えても、それよりは策源地でたたいた方がはるかに易しい。ただその後予想される政治的混乱を考えると決断がつかないだろう。自衛隊とともに米軍のイージス艦も日本近海を固めているらしい。日米のミサイル防衛の方が技術的には数段難しそうだ。北は、続いて核実験も行うらしい。
 おかしなことを書く新聞も多いが、ミサイルを日本各地から運ばなければならないのは、もっと変だ。もっと日本全体を防御できるように防衛費を増額すべきだろう。弾道ミサイルだから良いようなものの、コースを変えることができる巡航ミサイルには対処できないらしい。マスコミはわかっているのに、沈黙して何も書かない。日本が連日、北のミサイルの政治と商売のキャンペーンで盛り上がっても仕方がない。もっと淡々と軍備を固めるしかない。韓国では、大統領からし慰安婦問題で賠償せよと騒いでいる。大統領選挙で左派が勝てばどうなるのだろう。「従北政権」ができたならば、ますます厄介なことになりそうだ。IMFの総裁にも韓国系米国人が有力だという。ドル安にウォン安が連動し続けるということだとすると、日本としては承服しがたい。
 皇室典範の改正案を民主党が今年の年末から始まる通常国会に出すというが、一代限りの女性宮家の創設を政府は検討しているという。旧宮家の復活の方がよほど目的がはっきりしている。女性の天皇が即位することはあっても、日本の場合、生涯独身の皇女か、既婚とはいっても皇后あるいは皇太子妃となった皇女が未亡人となった場合に限られているのではないか。ここの所、明治時代の文献や古い本の読書に注力している。先週は天平時代の悲田院、施薬院のこと、光明皇后さまのことを読んでいた。8世紀の初めの大宝律令に基づく日本で最初の正式な皇后さまだ。なぜもっと学校で取り上げないのだろうとずっと思っていた。
 これにはいくつか理由があるのではないかということに最近気がついた。現時点での個人的な仮説である。聖武天皇との間にできたたった一人の親王が亡くなったあとは、聖武天皇には別の后に男子の親王がいるにもかかわらず、自分の子の阿部内親王を皇太子に据えて反対派の非難を浴びたことが影響しているのではないか。即位して孝謙天皇となった内親王は、一旦退位したものの、再び重祚して称徳天皇となり、弓削の道鏡の事件が発生した。それ以後、850年もの間、男系であっても女性天皇はなぜか生まれなかった。今晩は田口卯吉先生が光明皇后さまについてどう書いているか調べようと思う。