やはり沖縄本島2紙は偏っている。頑張れ八重山日報

 6月24日の八重山日報の金波銀波の記事は興味深かった。糸満市で開かれた沖縄全戦没者追悼式で朗読された翁長知事の「平和宣言」に、懸念を感じた八重山住民も多かったはずだという。翁長知事が宣言で、政府に米軍普天間飛行場辺野古移設中止を要求し、会場からは、翁長知事に対しては拍手、安倍首相に対してはヤジが飛び、さながら政治集会だった。これも県の「平和宣言」が発端だ。こんな騒然とした追悼式で、果たして御霊は安らかでいられるだろうかと批判している。八重山で開かれた追悼式は対象的だった。参列者はあらゆる政治的対立を超え、静かな雰囲気で戦争の悲惨さを語り、平和への思いに心を一つにした。・・・「反基地」の最も過激な主張が、そのまま県民の声として発信されているような現状では、県民の1人として不安を感じずにはいられないという。
 自民党内で開かれた勉強会での自民党議員の不規則発言を機にメディアは一斉に安倍首相を非難している。言論弾圧はとんでもないことだが、やはり沖縄本島の2紙は偏っていることは事実だと思う。朝日新聞毎日新聞東京新聞より左で、中国に共感を感じているのかという論調だ。中国から見れば、真面な新聞ということになる。ただ八重山諸島沖縄本島では全く異なる政治風土がある。
 沖縄の政治は複雑で興味深く、数年前から、東チモールや韓国の政治と比較しながら勉強をしている。何故、東チモールと比較するのかというと、東チモールポルトガルの香料貿易の拠点だったし、沖縄は中国との朝貢貿易の拠点だったという経済条件が似ていること。そして江戸時代の琉球王朝の統治と東チモールの植民地時代の統治似ているからである。東チモールは第二次大戦後、人種系統が近いインドネシアに組み入れられたが、海底資源が発見されるとヨーロッパとオーストラリアの人たちが騒ぎだし、支配階層のポルトガル系の混血をリーダーとした独立派が独立運動を起こし、それにノーベル賞が与えられ、結局は独立したという歴史がある。最近になって、「沖縄独立」という文字がネットで踊るようになった。沖縄の有力者には中国の福建省出身者の血をひく方が多い。前の仲井間知事も稲嶺知事もそうだった。自民党の国会議員を出している大手のゼネコンの国場組も帰化人系である。帰化人系の人にも中国に警戒的な人も入れば、べったりの人もいる。中国の領土であり属国であることを示す龍柱が建設されている那覇市は中国の影響力が強いといっても良いだろう。翁長知事は昨年まで、この那覇市の市長だった。
 何故韓国と比較するのかというと、江戸時代の本州の識字率は70%前後だとされるのに対し、韓国も沖縄も識字率は10%前後だと言われているからだ。沖縄では、琉球貴族とシナとの朝貢貿易に従事する帰化人だけが字の読み書きができた。韓国で字が読めたのは両班階級だけだった。明治の初めの琉球処分で、琉球王朝の貴族は東京に移住させられた結果、沖縄で字が書けるのが帰化系の人だけになった。明治の官選知事にとって沖縄の行政は苦労の種だった。教育の重要性に理解がないので、小学校への就学率がなかなか上がらなかった。新聞を発行しても読める人が少ないので、殖産興業に関する技術知識もなかなか広まらなかった。
 第二次大戦の終盤で沖縄は直接戦場となり大変苦労をした。そして戦後は長く米国軍政下に置かれた。戦前は確か島根県と同じ人口の60万人程度の地域だったはずだが、島根県がそれから大きく人口を減らしたのに対し、沖縄は現在140万人の人口となっている。戦後の米軍による米国流の医療と感染症対策の進展と、返還後の本土からの経済援助によって観光業が大きく進展したことが大きいと言われている。
 沖縄の経済を見ると、県民所得は低いが、高額所得者は比較的多い。県民所得が低いために、左派の勢力が強い。同時に、戦後も資産税の重課税や農地解放などが行われなかったために、明治時代から時の読み書きができ経済力郄い帰化系の人たち人たちが今も地元経済で有力であり、地元の大学教授や新聞社に勤める人もかなりの割合でそうした人たちの子孫だという。
 中国の習近平主席はもともと福建省で若い頃から台湾工作・沖縄工作を担当してきた人だいうし、尖閣諸島周辺には海底資源があるとされ、中国海軍は琉球弧にある米軍基地によって中国沿岸に閉じ込められていると感じているだろう。中国が沖縄を狙ってこない訳がないといった状況である。個人的には、東チモールの轍を踏まないように、安保法制の整備と共に、沖縄方面における自衛隊の拡充によって、抑止力を一層高めるべきだと考える。
 沖縄にご関心のある方は、沖縄本島の2紙だけでなく、八重山日報の記事をネットで読むことをお勧めしたい。ちょっと違った感覚の沖縄が見えてくる。