朝鮮半島の意味 

 昨年の9月に、ローマ法王様が「第三次世界大戦が起きている」とおっしゃったことがずっと気にかかっている。欧州では「世界大戦」と言うと、第一次世界大戦のことだそうだ。昨年は世界大戦100年ということで、今月半ばに東京で講演されるオックスフォードのマーガレット・マクミラン教授の“The War that Ended Peace: How Europe Abandoned Peace for the First World War (2013)”が欧米では随分話題となった。

 講演では、第一次世界大戦直前の複雑で多くの問題を抱えていた世界情勢に目を向け、現在の状況との類似点を指摘するという。欧米での本の販促も兼ねた講演会の後で、彼女は何をおいても現在の東アジアの危険性に言及されるのが常だと聞いている。

 しかし東アジア地域に限って言うと、日清戦争の前段である1882年の壬午事変(*)や1886年の長崎清国水兵事件と似た事件が眼の前で起きているような気がしている。壬午事変の後、李鴻章などの清国政府首脳は程度の差はあるものの「沖縄回復を名目とする日本征討、または日本征討を前提とする海軍力の増強」を主張していた。そして清国の威嚇に対して軍備が出来ていない日本は、外交上の妥協策をとる一方で軍備の拡張を進めた。
  (*)朝鮮で事大党と朝鮮の近代化を目指す独立党が争って閔妃一族の政府高官や、日本人の軍事顧問、日本公使館員らが殺害され、日本公使館が襲撃を受けた事件
 慰安婦問題や拉致問題で大活躍の西岡力教授は尊敬すべき半島ウォッチャーの一人でもある。その彼が3月19日の大阪の講演会で「韓国では1980年代に北朝鮮による民族主義が浸透し、反日反米の“従北派”が増え続けていると指摘し、独裁政権北朝鮮と、従北派が伸長する韓国のどちらが先に体制崩壊するかというほど緊迫した状況になっている」と言い、韓国を支援すべきと提言している。
 今、韓国からのしつこいまでの反日宣伝攻勢の中で、改めて、朝鮮半島の日本にとっての意味が問われだしている。