「屋根の上のバイオリン弾き」とウクライナ問題

 「屋根の上のバイオリン弾き」は小さな村で牛乳屋を営むユダヤ人一家の物語だが、ユダヤ人の不屈の魂の物語だとされている。それはウクライナが舞台だった。森繁久弥さんの舞台には世界からユダヤの人々が見に来たという。
 亭主関白を気取ってはいても、妻には頭が上がらないテヴィエは5人の娘たちの幸せを願いそれぞれに裕福な結婚相手を見つけようと必死に生きていたが、次第にエスカレートしていくユダヤ人排斥のため、着の身着のまま住み慣れた村から追放される。原作ではイスラエルの地へ帰還するが、ミュージカルではニューヨークに向かうところで話が終わる。
 ウクライナ問題を調べていると、それにはカラー革命やアラブの春と同じように、米国の姿が見え隠れする。ロシア語を母国語とするウクライナ人の多い親露派側はロシア軍の情報部門(GRU)の応援を受けているとされるが、ウクライナ政府側には、ブラックウォーターとかアカデミーという米国の民間軍事会社が関与していて、ウクライナの新政権の成立自体が、米国のネオコンという人々によって支援されたクーデタだとみることも出来る。ネオコンの人々は祖父母の時代に、ロシア・東欧から米国に移住したユダヤ人の子孫である。だからどうしてもヨーロッパのことだと割り切れないのかもしれない。もちろんユダヤ系の人々のなかにも、ネオコンとは違って、イラク戦争に反対し、ウクライナ問題に距離を置いている方々がいるのも事実である。
 米国の政策決定にどの人種グループがどうかかわりあっているのか、もう少し調べることも必要なのかもしれない。オバマ大統領は、シカゴのあるイリノイ州で、社会人としてスタートし、政治家となった。シカゴは多人種から構成されているが、ポーランド人が多いことが知られている。そして、ポーランドは、ウクライナでクーデタを起こした人たちが軍事訓練を受けた場所であり、ドイツとロシアに分割されていた歴史のある国なのである。
 米国において、日本が貶められ、事実とは異なる教科書が流布され、反日的な議会決議が時としてなされるのは、中国、韓国の人たちが、米国籍を取得したり、選挙を通じて議員に影響力を及ぼし、反日活動に多額の資金を供給しているからである。そこに欧州の研究と共に、米国の実態についてもっと理解を深めなければならない理由がある