アフリカの不安は、中国の不安。そして世界の不安

 エボラ出血熱も問題は、保健衛生上の問題にとどまらず、このままいくと国際的な人の往来や国際的な観光の減少、食品の輸出入の減少、ひいては経済の縮小につながりかねない。米国でもその制御に失敗したことが報じられているが、世界ではWHOの失敗だという人も多いと思う。
 だがこの際、責任追及は問題の本質ではない。何故そう思う人が多いのかといえば、WHOの責任者の事務局長は、SARSの時に香港の衛生責任者だった人で、中国政府の推薦でWHOの責任者となった。16世紀以降アフリカに行った欧州人の数より、2000年以降アフリカに行った中国人の人数の方が多い。当然ながら、アフリカと中国との人の往来も多い。マクドナルドの事例を挙げるまでもなく、中国の衛生管理は昔も今も悪い方で定評がある。1894年にはペストの蔓延していた香港に派遣されて、ペスト菌を発見したのは北里柴三郎先生だった。アフリカ不安は、中国の不安なのだ。そして中国人観光客はアジアの観光経済を支えている。中国の商品は世界に輸出されている。中国の不安は世界の不安なのだ。
 今朝のニュースでは、韓国の釜山で、またスペインに着陸した航空機で患者と疑われる人が出たという。食品関係者は口を閉ざしているが、無検査となっている韓国食品だってそう高い評価があるわけではない。韓国の危機管理の実情もハッキリしている。世界最初のパンデミックといわれる「スペインかぜ」もスペインではなく米国で発生したインフルエンザだった。
 そうだとすると、日本ではきちんとした制度と仕組みがあると言っているだけでは済まないのではないか。「こういう時には、どうする」と、まず国民的な理解を促し、医療関係者には必要な訓練をし、必要な機材、設備、医薬品の拡充を図るべきではないか。