韓国との現在 2014年夏

都知事
 舛添都知事が7月に訪韓し朴大統領と面談した。都知事は、安倍首相のメッセージを預かってきたと言ったらしいが、親書も持たさずに、メッセージを預ける首相はいない。韓国の問題になると、都知事はいつもの分析のキレがなくなり説得力がないと思う。本人は自慢げだが、彼の行動を評価する人はほとんど聞かない。
慰安婦問題
 官房長官による河野談話の検証結果も報道され、それは本来、真実であるとかないとかは意味がなく、「外交的妥協の産物」であることが、改めて確認された。朝日新聞がこの8月5日、6日と「慰安婦問題」での弁明をついに始めた。水間政憲氏の戦前の朝日新聞アサヒグラフを使った一連の著作により現在の朝日新聞の嘘は既に幾つか証明されている。直前の産経新聞の阿比留記者の調査報道の影響も大きかったのだろう。慰安婦問題に限っても「強制性はなかった」が、「性奴隷という本質的な人権の問題は消えていない」と強弁を続けているが無理がある。更に言えば、少なくとも20年以上もこの問題を煽ってきた責任が全くとられていない。
朝日新聞の責任
 2つの責任がある。一つは、その誤報道の悪影響の是正である。報道の自由もあることから、司法や行政が責任を追及するわけにはいかないとすると、国会で集中審議をやって、この問題に対する国民の認識を一つにし、その誤報道の結果生じた認識の是正方法を国民として議論すべきと考える。
 もう一つは朝日新聞自体の責任である。最終的に経営陣を一新するような責任だけで済むのかどうかわからない。今は論点をずらしているだけで、何も謝罪をしていない。そのため朝日新聞が、別件について「嘘をつくな、責任をとれ、謝罪しろ」と書いても、おそらく「お前はどうした」といたるところで言われているはずだ。
 南京大虐殺の報道も是正も含めて、早く責任問題に終止符を打つべきと思う。他のメディアや評論家も、朝日新聞の不見識に無批判であったことの責任を問われざるをえないだろう。
光復節
 8月15日は隣の韓国では、1948年に3年間に及ぶ米国軍政から韓国が独立した日である。だが韓国では日本の植民地支配から解放された「光復節」だと主張している。ただ第二次大戦中、朝鮮人は日本人として連合国と戦った。特攻隊に志願して散った朝鮮人も少なくない。靖国神社には3万人の朝鮮人御柱が祭られている。だから戦時賠償の対象ではないし、連合国でもなかった。
 光復節の今年の式典で朴槿恵大統領は、日韓が2015年に国交正常化50年を迎えることにふれ、「慰安婦問題が解決されれば関係が進む」とし、日本の政治家の知恵と決断を期待すると述べたようだ。まだ日本に一方的な妥協と謝罪を要求しているようだ。
 韓国は何か勘違いしているのではないか。同じ問題で、しかもそれが嘘であることが明らかになりつつある問題で、どうして何度も謝罪させられ、お金をとられるのだろうと呆れている人が増えている。まして海外に根も葉もない銅像を建て、悪口を広め日本人子弟を差別させる原因をつくる国と妥協する日本の政治家がいれば、日本国民が許さないと思う。今韓国にしっぽを振っているのは、旧世代の政治家ばかりである。
⑤日韓関係
 韓国では、日韓首脳会談をすべきだという人が増えているようにみるが、日本では一部の政治家を除いてそうした人は少ないように思う。河野談話の検証で明らかになったように、河野談話は外交的妥協の産物であり、政治的決着だった。何度も同じ問題を蒸し返してくる外国とは交渉できないし交流できない。そのことを捉えて国交を断絶すべきと真顔で論じる人たちが日本で存外増えている。
 ヘイトスピーチには反対だが、感情的な問題を起こすよりは距離をおくべきと考える日本人が増えていると言った方が正確かもしれない。非韓三原則という言葉が一般的になりだした。つまり韓国については、「助けない、教えない、関わらない」という政策をとるべきという議論である。
⑥韓国の歴史教育
 現在の韓国の人々は、小学生の時から、偏った歴史教育反日教育を受けており、本当の歴史を知らない。正面切ってこう議論すれば彼らは煙を立てて怒るだろう。内政干渉だからだ。だが彼らは自分たちが自分たちの歴史観を日本に押し付け、内政干渉しているという意識がない。既に共通の歴史教科書をつくるというプロジェクトが何回も失敗しているのは、韓国に言論の自由がなく、歴史を政治の延長と考えているからだ。歴史教科書においては、歴史的事実よりも政治が大事という考え方は、日本には少ないと思う。
⑦米韓関係
 ワシントンDCの韓国人は10万人、中国人は7万人で日本人は6千人だという。少し前まで、米国さえ説得してしまえば、日本は言うことを聞くと中国・韓国は思っていたようだ。そしてそれはある程度真実だった。今までは日本の民主党政権の無能・無法が特にひどかった。日本政府は少ないなら少ないなりに広報のやり方を改めるべきと思う。安倍政権となって、少しずつではあるが、日本の外務省の人たちもやる気が出てきたように思われる。
 現在、米韓の間で議論されているのが、2015年の朝鮮半島有事の際の戦時作戦統制権の移管問題だ。時々新聞に載る。2007年2月に米軍が持っている戦時作戦統制権を韓国軍に移すことを決めたが、現在のところ2015年12月までに返還される予定だ。返還後、米韓連合軍司令部は解体され、各種作戦計画も練り直される。普通に考えれば、戦時作戦統制権が移管されれば、米国陸軍25千人の大部分が韓国から引き上げるだろう。それに対する警戒感が現在の韓国には少し出てきたようだ。韓国は再度延期したいとしているが、最終的にはどうだろうか。韓国は既に中国の影響下にあり、経済も中国に依存している。日本の態度が悪いから、中国と付き合うのだと米国に言って、それで通るのだろうか。
 現在の韓国の対外政策の基調を端的に考えれば、米国は次に起きる北朝鮮との第二次朝鮮戦争を防ぐための存在であり、中国は北朝鮮をコントロールする存在であり、日本は様々なことを理由に、資金や技術を出させる存在だと思っているようだ。
 「韓国は日本をなめている」というのが、ついこの間まで日韓関係に非常に穏健な見方をしていた韓国専門家のコメントである。日本における韓国の味方はどんどん少なくなりつつあると思う。